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セミに寄生して、オスメス関係なく交尾させる菌がいる

2021.01.27 Wednesday

2019.06.27 Thursday

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Credit:sciencealert

Point

■「Massospora」という菌は、セミに寄生して体の自由を奪い、性行為狂いにさせる力を持つ

■セミの生殖器はすでに食い尽くされているため子孫は残せないが、菌自身が別のホストに移動するメリットがある

■さらにセミの体内から覚せい剤の一種である「カチノン」や「シロシビン」などの化合物が発見された

猫の寄生虫が「人間を起業させる」という驚くべき研究が発表される

「Massospora」はセミの体内に寄生することで有名な菌だ。

これに感染したセミは体の自由を奪われ、性行為狂いになってしまうという恐ろしい性質をもつ。

ウェスト・ヴァージニア大学の研究で、セミに感染したこの菌から、覚せい剤の一種である化合物が検出されていると発表された。

研究の詳細は、6月24日付けで「Fungal Ecology」に掲載されている。

Psychoactive plant- and mushroom-associated alkaloids from two behavior modifying cicada pathogens
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1754504819300352

下腹部を生殖器ごと食い尽くす

セミは成虫として地上に出るまでにおよそ17年の歳月を土の中で過ごす。

長い準備期間を終えて、いよいよ地上に出るというその瞬間、Massosporaはオスのセミに寄生して脱皮を促し、同時に下腹部を食い始める。そして下腹部には大きな菌の胞子が出来上がり、というわけだ。

感染したオスのセミは身体のコントロールを完全に失い、仲間のセミを見つけたらオスメス関係なく性行為を仕掛けるように洗脳される。

相手がオスだとしても、メスの求愛行動である翅をパタパタと動かす行動を取るという。

こうしてセミの世界は無法地帯と化すのだ。

Credit:sciencedirect

ただ性行為をしてもセミのメリットにはならない。というのも、セミの生殖器はすでに下腹部もろとも菌に食い尽くされてしまっているため、子孫繁栄につがることは決してないのだ。

ではなぜ菌はセミに性行為を促すのか。これは他のセミと接触させることで、菌自身が現在のホストから別のホストに移動するためだという。

研究主任のマシュー・カッソン氏によると「Massosporaは性感染病のようにして広がっていき、オスからメス、オスからオスとどちらのルートでも移動可能である」とのこと。

セミが苦労して積み重ねた17年は、菌の良いように利用されるというわけだ。

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