セミに寄生してオスメス構わず交尾させる「性狂いゾンビ」にしてしまう菌がいる

animals_plants 2019/06/27
Credit:sciencealert

Point

■「Massospora」という菌は、セミに寄生して体の自由を奪い、性行為狂いにさせる力を持つ

■セミの生殖器はすでに食い尽くされているため子孫は残せないが、菌自身が別のホストに移動するメリットがある

■さらにセミの体内から覚せい剤の一種である「カチノン」や「シロシビン」などの化合物が発見された

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「Massospora」はセミの体内に寄生することで有名な菌だ。

これに感染したセミは体の自由を奪われ、性行為狂いになってしまうというオゾましい性質をもつ。

ウェスト・ヴァージニア大学の研究で、セミに感染したこの菌から、覚せい剤の一種である化合物が検出されていると発表された。

こんな菌が人間界にまで感染拡大するとしたら…考えるだけで世紀末だ。

研究の詳細は、6月24日付けで「Fungal Ecology」に掲載されている。

Psychoactive plant- and mushroom-associated alkaloids from two behavior modifying cicada pathogens
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1754504819300352

下腹部を生殖器ごと食い尽くす

セミは成虫として地上に出るまでにおよそ17年の歳月を土の中で過ごす。

長い長い準備期間を終えて、いよいよ晴れの舞台! …まさにその直前。

Massosporaはオスのセミに寄生して脱皮を促し、同時に下腹部を食い始める。そして下腹部には大きな菌の胞子が出来上がり、というわけだ。

感染したオスのセミは身体のコントロールを完全に失い、仲間のセミを見つけたらオスメス関係なく性行為を仕掛けるように洗脳される。

相手がオスだとしても、メスの求愛行動である翅をパタパタと動かす行動を取るという。

こうしてセミの世界は無法地帯と化すのだ。

Credit:sciencedirect

ただ性行為をしてもセミのメリットにはならない。というのも、セミの生殖器はすでに下腹部もろとも菌に食い尽くされてしまっているため、子孫繁栄につがることは決してないのだ。

ではなぜ菌はセミに性行為を促すのか。これは他のセミと接触させることで、菌自身が現在のホストから別のホストに移動するためだという。

研究主任のマシュー・カッソン氏によると「Massosporaは性感染病のようにして広がっていき、オスからメス、オスからオスとどちらのルートでも移動可能である」とのこと。

セミが苦労して積み重ねた17年は、菌の良いように利用されるというわけだ。

菌から覚せい剤が検出される⁈

では何がセミの洗脳を可能にしているのか。

これについて調査したところ、研究チームはセミの体内から洗脳の主原因となる2つの化合物を検出することに成功した。

1つは「カチノン」で、特定の植物に含まれる覚せい剤の一種。そしてもう1つは「シロシビン」で、マジック・マッシュルームに含まれる向精神剤である。

つまり菌によってこの化合物を注入されることで、ホストのセミはドラッグ漬けになっていたのだ。

Credit:pixabay

カチノンもシロシビンもこれまで特定の植物内でしか発見されていなかったが、キノコ以外の菌から見つかったのは今回が初めてのことである。

これについてカッソン氏は「こうした向精神物質は心理的な健康にとって重要な役割を果たすため、今後の研究次第では人のための医薬品として活用できるかもしれない」と話している。

 

ただしMassosporaは研究所内で育てることができないため、研究も感染したセミに頼るしかないそう。精神医療の切り札として、セミの17年が報われることを祈りたい。

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reference: vicesciencealert / written by くらのすけ

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