NASAの次回ミッションがタイタンへの飛行に決定。やったね、Dragonfly!

space 2019/06/28
勝利の雄叫びをあげる(?)探査機トンボさん / Credit: NASA / JHUAPL

Point

■NASAの次回の太陽系探査が、探査機Dragonflyを土星最大の衛星であるタイタンへ向かわせるという内容に決定

■Dragonflyは「セルク」と呼ばれるクレーターを含むさまざまな領域を飛行しながら、その地質や環境を調べる

■タイタンの環境を調べることは、生命が誕生した初期地球の環境を理解する上で役立つ

ブラックホールから放出される光が生命を生んでいるかもしれない

ビッグニュースだ!

日本時間の早朝、NASAが次の太陽系探査のコンセプトがついに決定したことを明らかにした。

めでたく選出されたのは、土星最大の衛星であるタイタンへ向かうという計画である。

NASAは以前から、太陽系惑星の調査を目的とするニュー・フロンティア計画の下、2020年代に実施するロボット探査のコンセプトを幅広く募集。2017年4月には、12のコンセプトの中からファイナリストの2案を選出したと発表していた。

その1つは、Comet Astrobiology Exploration Sample Return(CAESAR)と呼ばれる、彗星「67P/Churyumov-Gerasimenko」からサンプルを持ち帰り、その起源や歴史に迫るというミッションだ。

そしてもう一方が、ドローン型探査機「Dragonfly(トンボ)」を土星の衛星であるタイタンに送り、居住可能な環境を調査するというもの。タイタンは、地球によく似た地形や気象を持つと考えられているのだ。

「カエサルか?トンボか?」という究極の選択の結果、選ばれたのは「トンボ」だった。

地質調査で暴くかつての地球の姿

選ばれたミッションは、一連のニュー・フロンティア計画における4番目のミッションとなる。先には、冥王星とカイパーベルト内に存在する太陽系外縁天体「2014 MU69」へのミッション、探査機「ジュノー」による木星探査、探査機「オサイリス・レックス」による小惑星ベンヌからサンプルを持ち帰るミッションが行われた。

Dragonflyは2026年に発射予定で、2034年にタイタンの赤道近くにある砂丘へタッチダウンする計画だ。

そこから、Dragonflyは地表のあちこちを飛び回り、タイタンの地質や環境をくまなく調べる。

特に、「セルク」と呼ばれる直径80キロほどのクレーターには、生命の存在に必要な3つの成分、つまり水・有機化合物・エネルギーが混在していると考えられている。NASAは、Dragonflyをこのクレーターへ送りこみ、そこで何が起きているかを調べさせる予定だ。

では主な目的は何なのだろうか?

実はタイタンのセルクを含む領域の環境を調べることは、生命が誕生した初期地球の環境を理解する上で役立つ。タイムスリップできない代わりに、タイタンへ行って、地球の過去を知ることができるというわけだ。

「あれ、過去のオレ?」みたいなことである。

タイタン上空の飛行は地球よりも楽ちん!?

Dragonflyは、2年半をかけてタイタンの地表を約175キロに渡って飛行するように設計されている。

放射性同位体熱電気転換器(RTG)を使って生成した電力をバッテリー内に蓄え、飛行やその他の活動に使うことができるのだ。

実は、タイタンの上を飛行することは、地球上よりも簡単だという。タイタンの大気は地球よりも密度が4倍も高く、重力は地球のわずか7分の1だからだ。Dragonflyにとっては、快適な長距離の旅になりそうだ。

これまで、地表からサンプルを吸い取る「掃除機」のような部分が詰まってしまうという課題があったが、大幅なデザイン変更によって無事解消されたDragonfly。次のミッションを請け負うという大役に大喜びで、羽をバタバタと鳴らしたい気分かもしれない。

ちなみにDragonflyの勝因は、その科学に説得力があること、リスク軽減の取り組みを十分に行ったこと、強力なリーダーシップがあったことの3点だったとのこと。

今回、残念ながら選出されなかったCAESARだが、次回2022年頃に行われる選考に再びチャレンジすることは可能だ。次回はぜひ頑張ってほしい。

 

約7年後の発射に向け、これから大詰めの準備を行うDragonfly。みんなでエールを送ろう。

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reference: spacenewsindependent / written by まりえってぃ

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