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「古すぎる」謎のブラックホールはどこから来たのか

space 2019/07/05
Credit:sciencealert

Point

■ブラックホールは通常、星の寿命が尽きる際に起こる大爆発の影響で形成され、それまでに長い期間が必要

■しかし超大質量ブラックホールには宇宙初期の短い期間に形成されたものもあり、上の「恒星爆発説」が不適応

■現在、星の一生を経由しないガス円盤の重力崩壊によって直接的に作られる「直接崩壊説」が有力である

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超大質量ブラックホールは実に謎の多い天体だ。

一般的にブラックホールは、寿命を終えた恒星が爆発して形成されるが、それでは超大質量ブラックホールの成り立ちを完全には説明できない。

今年発見された83個の超大質量ブラックホールは、どれもビッグバン後からたった8億年以内に完成していた。つまり星の一生をのんびりと待っている期間はなかったというわけだ。

それでは一体どのようにして宇宙初期の短い期間で、これほどの巨大ブラックホールが出来上がったのだろうか。

研究の詳細は、6月28日付けで「The Astrophysical Journal Letters」に掲載されている。

The Mass Function of Supermassive Black Holes in the Direct-collapse Scenario
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/ab2646

ブラックホールができるまで

Credit:pixabay

超大質量ブラックホールはほとんどすべての銀河の中心に存在すると言われているが、普通のブラックホールとは生い立ちが違う。

基本的なブラックホールの形成段階は「恒星崩壊説」として説明される。太陽の少なくとも5倍以上の質量を持つ恒星が、燃料を使い果たし、寿命を終えるときに大爆発を起こすというものだ。

通常、恒星は自身の重力と放射圧のバランスを取ることで安定している。

つまり恒星自体の重さから生じる「内向きの重力」に対して、内部の核融合によって発生する「外向きの圧力」がその力を打ち消すのだ。しかし恒星が燃料を使い果たすと核融合も生じなくなるため、内向きの重力に負けて自ら潰れてしまう。

こうして起こるのが「極超新星爆発(hypernova explosion)」であり、その後には星の残骸と強力な重力を誇るブラックホールが残される。

「期間が短すぎる」超大質量ブラックホールの謎とは

Credit:pixabay

天体物理学者たちは、超大質量ブラックホールも同じような道筋を辿って作られると考えていた。

周辺にある物質を次々に吸収することで、まるで巣の中心にいるクモがどんどん太っていくかのように巨大なサイズとなるのだと。

しかしこの説明では、超大質量ブラックホールの形成までに膨大な時間がかかってしまう。先述したように、最近発見された83個の超大質量ブラックホールはビッグバン後8億年以内に形成されていたのだ。

またどれも赤方偏移の値が非常に大きかったため、宇宙初期に完成していたことが伺える。赤方偏移とは、光の波長が伸びることで観測される現象のことで、その量は地球から遠ければ遠いほど大きくなる。

しかし現に超大質量ブラックホールは短期間で誕生してしまっている。

ではいかにして超大質量ブラックホールは、このような短い期間の間に誕生し、巨大化し得たのか?

まさかの星を必要としない説

Credit:sciencealert

この問題の回答として、カナダ・ウェスタンオンタリオ大学の研究チームは「直接崩壊説(Direct collapse)」が有力であると主張する。

直接崩壊説のプロセスは次のようなものだ。

最初に、まだ星のない宇宙初期の銀河で超大質量のガス円盤が形成される。この円盤が、星を作る前に直接的な重力崩壊によって潰れることでブラックホールを作り出す。

これで理論上は、星の誕生と死を経ることなく、比較的短期間でのブラックホール形成が可能となる。

さらに重要なのが「エディントン限界光度」の役割である。

これはブラックホールから放出される放射線の圧力と、内向きの重力とのバランスで決まる限界光度を指す。

このエディントン限界を越えると、周囲の星間物質が急激にブラックホールに向かって落ちていき(超エディントン降着)、どんどん膨れ上がって超大質量ブラックホールが形成されるというわけだ。

 

こうした説はあくまでも間接的な証拠を元に構築されており、厳密に正しいとは言い切れない。それでもブラックホールの正体は着実に解明しつつあるようだ。

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reference: sciencealertphys.org / written by くらのすけ

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