星が死ぬ時の「断末魔」を捉えた最新画像が美しすぎる

space 2019/07/05
Credit: NASA, ESA, N. Smith/University of Arizona, J. Morse/BoldlyGo Institute

Point

■りゅうこつ座η星が一生を終える様子をハッブル宇宙望遠鏡の広視野カメラ3が撮影し、マグネシウムの噴出を観測

■マグネシウムが窒素と泡の間の宇宙空間に存在することが判明

■1800年代の大爆発の以前に、すでにりゅうこつ座η星が物質を失いつつあった可能性を示唆

「あれ、月に雨降ってない?」NASA公式がツイート

7,500光年先にあるりゅうこつ座η星が一生を終える様子を、ハッブル宇宙望遠鏡が見事に捉えた。

もちろん「わ〜キレイだね〜!」というだけの話ではない。

これまで明らかになっていなかったマグネシウムの噴出の観測に成功し、マグネシウムが窒素と泡の間の宇宙空間にも存在することを示したのだ

では、なぜこれほど見事な写真が撮影できたのだろうか?

窒素と泡の間のマグネシウム

連星が寿命を迎えると、外を覆う物質を吹き飛ばし、電磁スペクトルを通して宇宙空間へ放射線を噴き出す。

星のサイズが大きくなるほど、そのプロセスは長い時間を要し、その「花火」は一層華やかさを増すのだ。

一方、今回のりゅうこつ座η星は、質量が太陽のおよそ90倍と30倍もある大質量星同士の連星だ。その巨大さゆえに、断末魔はすでに200年近くも続いている。

1838年に大爆発を起こしたりゅうこつ座η星は、1844年までは夜空で2番目に明るい天体だった。しかし爆発後、宇宙空間に向けて太陽質量の40倍もの物質を噴き出し、これらの物質がりゅうこつ座η星を取り巻くことで人形星雲が形成された。

それ以降劇的な変化は観察されていなかったが、今回撮影された画像から、自らの残骸である星雲の中でりゅうこつ座η星が今も活動している様子を伺うことができる。

そこで天文学者らは、広視野カメラ3という最新カメラを使って、紫外線で光るマグネシウムの姿を捉えようと試みた。

人形星雲は外向きに噴出するガスや、ちりから成る2つの泡でできているが、彼らの予測では「星雲の外側を覆っている衝撃加熱を受けた窒素(赤色で示された部分)のフィラメントの中に、マグネシウムが混じっている」と考えられていた。

ところが観測の結果、マグネシウムが実際には窒素と泡の間の宇宙空間に存在することが判明したのだ(下記画像の青色部分)。

NASA, ESA, N. Smith/University of Arizona, J. Morse/BoldlyGo Institute

研究チームによると、マグネシウムの噴出の大部分は、空洞が存在すると思しき場所で起きているようだ。

ただでさえ強力な爆発が起きているところへ、さらにものすごい勢いでマグネシウムが噴き出しているものだから、全体のエネルギーは相当のものになる。

このことは、1800年代の大爆発の以前に、すでにこの星が物質を失いつつあった可能性を示唆している。可視波長範囲にないことと、適切な機器が用いられなかったことが要因したことで、見逃されていたようだ。

左下の泡の下方にある青い領域には、これまで観測されたことのない「筋」が写っている。これは泡から出る紫外線によるもので、分厚いちりの層がその一部を遮ることで影を作っている様子が伺える。まるで、太陽光を雲が遮っているようだ。

ハッブルが備えた「広視野カメラ3」のお手柄

今回この画像の撮影に成功できたのはまったくもって、近紫外線の領域まで見ることができるハッブル宇宙望遠鏡の最新カメラのお陰だった。

「我々はこれまで、りゅうこつ座η星噴出堆積物のほとんどを理解できていると考えていました。ところが、今回新たに撮影された紫外線画像はこれまでのものと驚くほど異なり、可視光画像・赤外線画像のどちらでも見ることのできなかったガスの存在を暴き出しました」と、研究チームは語っている。

今後は、原始星や他の超新星を含む天体が噴出する、これまで分かっていなかったガスの正体を明らかにするため、この技術を活用できるはずだと、天文学者らは期待を膨らませる。

星雲内部の様子を実際に見ることはできないため、りゅうこつ座η星が最終的にいつ寿命を迎えるかはまったく分からない。それは明日かもしれないし、1万年後かもしれない。人類がまだ存在しているうちに起きればいいのだが…。

それにしても、輝く宝石のように美しい画像だ。壁紙にぴったりの高解像度バージョンもあるので、興味のある方はぜひお試しを。いつも心にりゅうこつ座η星を輝かせることができるかも。

【欧州宇宙機関HP】
https://www.spacetelescope.org/images/heic1912a/

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reference: sciencealert / written by まりえってぃ

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