animals plants

クモは「アリの物真似」をして食料を調達している

2021.01.27 Wednesday

2019.07.09 Tuesday

Credit: iflscience

クモはこれまで、「食う側」と「食われる側」の両方の行動様式を同時に進化させてきた。その中には、アリを真似る技も含まれているのをご存知だろうか?

実はアリの擬態をするクモは、300種以上も知られているのだ。

彼らはアリの3つの部分に分かれた身体を模した「腰のくびれ」を持っており、身体中につややかな毛を蓄えている。

しかも自身の単眼をアリの複眼のように見せるため、目の周りの色まで変色させるあたりが何とも芸が細かい。

そして真似るのは、単に見た目だけではない。両前足をアンテナのように頭の付近でいかにもアリっぽくジグザグと振る様子は、「自分を完全にアリだと思い込んでいるのかな?」と思いたくなるほどだ。

「攻撃的擬態」と「ベイツ型擬態」

実はこうした巧みな擬態の背景には、命がけの理由がある。まずは獲物を欺くことで、食糧を獲得するためだ。

それぞれどちらがアリとクモでしょう…?答えは、左がクモで、右がアリ。 / Credit: Palmfly, CC BY

クモはアリも食糧にするが、頑丈な顎・毒針・化学物質によって身を守ろうとし、時に集団で攻撃を仕掛けてくるアリは、決して舐めて掛かってはいけない相手だ。

そこで「攻撃的擬態」が役に立つ。仲間のアリに扮して接近したところを、一気に仕留めるのだ。

クモはできるだけアリが単体でいる時に攻撃を仕掛け、死体を自分の巣へ運ぶ間も常に他のアリの攻撃を受けないよう気をつける必要がある。

また、捕食者の目を欺くことで身の危険を防ぐための「ベイツ型擬態」もある。不快に思われるアリの特徴を真似ることで、アリをもともと嫌う捕食者をまんまと騙し、捕食者による攻撃を防ごうとするのだ。

この例としてもっとも良く知られているのが、ハエトリグモだ。ハエトリグモは通常、アリや自分より体格の大きいクモの獲物になる。

ある実験では、アリと、アリに擬態したハエトリグモ、そしてアリに擬態していないハエトリグモを、さらに体格の大きいハエトリグモの前に同時に晒したところ、擬態していないハエトリグモが体格の大きいハエトリグモの攻撃をもっとも多く受けることが示された。

次ページアリ嫌いの捕食者を遠ざける「アリとご近所」作戦

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

動物のニュースanimals plants news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!