200万年前の人類は6歳まで母乳を飲んでいた

history_archeology 2019/07/16
Credit:pixabay

Point

■200万年前に生きていたアウストラロピテクス・アフリカヌスは6歳になるまで母乳で育てられていたことが判明

■母乳に含まれるバリウムによって、授乳中の子供の歯は必然的にバリウム濃度が高く、その後固形食に移行することで低くなる

■しかしA・アフリカヌスの歯は固形食移行後も定期的にバリウム濃度の上昇が見られた

オーストラリア・サザンクロス大学の新たな研究により、アウストラロピテクス・アフリカヌスは6歳まで母乳で育てられていたことがわかった。

6歳と言うと小学生になるのでかなり良い歳なわけだが、これには生存をかけた理由があった。

残された4本の歯の化石を詳細に分析したところ、歯の中の化学成分が周期的に変化していることが分かり、彼らが食べ物を逐一変えていたことを示している。

つまり食物の入手量によっては母乳を補助食として子供に与える必要があった。これはA・アフリカヌスの適応能力の高さを証明すると同時に、母乳を作る母親の多大なカロリー消費量を示している。

研究主任のルノー・ボワイヨ氏は「もしかしたらこの手法がA・アフリカヌスの絶滅を早めた可能性もある」と指摘する。

研究の詳細は、7月15日付けで「Nature」に掲載されている。

Elemental signatures of Australopithecus africanus teeth reveal seasonal dietary stress
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1370-5

アウストラロピテクス・アフリカヌスとは

アウストラロピテクス・アフリカヌスの化石は1924年に南アフリカのタウン(Taung)で発見された。彼らはアフリカで誕生した代表的な初期人類であり、生存年代はおよそ200万〜300万年前の鮮新世であると推定される。

アウストラロピテクス・アフリカヌスのイメージ / Credit:theconversation

しかしながら発見されている化石の絶対数が少ないため、当時のA・アフリカヌスがどのようにして生活していたのか、また他の人類の祖先とどのような関係を持っていたのかはほとんどわかっていない。

ちなみに発見場所のタウンはその後も様々な人類の化石が発掘され、現在ではユネスコ世界遺産にも登録。「人類のゆりかご」として知られている場所だ。

歯で200万年前の食生活が分かる

歯の化石中に含まれる化学物質を調べるため、研究チームは高密度レーザーを用いてごく小さな断片を切り取り、分光計に当てて化学物質を分析した。

今回の研究では、A・アフリカヌス2個体の歯の化石におけるバリウム濃度の変化をマッピングすることに成功している。

ボワイヨ氏によれば、体内におけるこれらの化学物質量は食事によって大きく変化し、その影響は歯や骨に現れるという。

Credit:theconversation

私たちの骨は生きている間に形を変えながら組成を変え続けるが、歯は子どもの頃に形成された後も変わらない。よって歯を調べることで、食事習慣の変化や移動範囲、さらに当時の気候の変動まで明らかになる。

歯は幼少時代の食習慣を知ることのできる化学的なタイムカプセルなのだ。

母乳は生き残るための補助食

分析の結果明らかになったのは、歯に含まれるバリウム濃度が極めて高いことだ。バリウムは母乳に多く含まれる物質であり、授乳中に形成される子供の歯は必然的にバリウム濃度が高くなる。この濃度は固形食物を摂取できる年齢になると次第に落ちてくる。

Credit:theconversation

しかしA・アフリカヌスの歯は違っており、バリウム濃度の周期的な変動が確認されたのだ。これは固形食物が得られないときに、母親が自らの母乳を与えることで子供の栄養を補っていたと考えられる。

子供が6歳になっても母乳を与えることは、「奇妙な習慣」ではなく母親の愛情ゆえのものだったのだろう。

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reference: theconversation / written by くらのすけ

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