パイナップルの鎮痛効果の仕組みがついに解明 アメリカ先住民は知っていた?

life 2019/07/20
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Point

■パイナップルの茎や実から抽出される酵素「ブロメライン」には鎮痛効果がある

■ブロメラインが、消化管内部に存在するプロエンケファリンの分泌を引き起こすことが判明

■プロエンケファリンは、内因性オピオイド、つまり自然の鎮痛剤として知られるエンケファリンの前身である

パイナップルの茎や実から抽出される酵素「ブロメライン」には、実は鎮痛効果があることを知っているだろうか?

アメリカ大陸の先住民も数百年前の昔からパイナップルの鎮痛効果について知っていたようで、その証拠にヨーロッパからやって来た植民者は、傷の手当てや痛み止めに用いたパイナップルの標本を母国へ持ち帰っている。

ところが、ブロメラインの鎮痛効果がどのようにして生まれるのかはよく分かっていなかった。

ブラジルのサンパウロ連邦大学の研究チームがこのほど行った研究で、ブロメラインが、消化管内部に存在するエンケファリンの前身であるプロエンケファリンの分泌を引き起こすことが明らかになった。

エンケファリンは、内因性オピオイド、つまり自然の鎮痛剤として知られている。論文は、雑誌「Peptides」に掲載されている。

Enkephalin related peptides are released from jejunum wall by orally ingested bromelain
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0196978119300245

モルヒネ級の鎮痛効果

エンケファリンは、神経細胞によって分泌される自然の鎮痛剤だ。プロエンケファリンが、神経組織内部に存在するタンパク質分解酵素と反応することで生まれるエンケファリンは、オピノイド受容体に作用して、まるでモルヒネのような効果を発揮する。

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万一ブロメラインが血管内に侵入すると、急激な低血圧を引き起こして死を招くため、直接血中を流れて作用することは考えにくい。そこで研究チームは、腸表面だけで起きる別のメカニズムを通じて、その効果が現れるのではないかとと仮定した。約5年前に行われた「プロエンケファリンは脳以外の領域にも存在する」という発見も、今回の研究の土台になった。

プロエンケファリンを加水分解してエンケファリンへ

研究チームがマウスにブロメラインを経口投与したところ、小腸の一部である空腸のプロエンケファリン値が下がり、その代わりに血中のエンケファリン値が上昇した。

このことは、体内に取り込まれたブロメラインが、プロエンケファリンを分解することで、小腸からエンケファリンを分泌することを意味する。このエンケファリンが血流に入り、その周辺に抗炎症と鎮痛の作用をもたらすのだ。

また、ブロメラインの濃度についても興味深い事実が判明した。濃度3mg/kgのブロメラインの鎮痛効果は3時間後にピークを迎え、それ以上濃度を上げても逆に効果が弱くなったのだ。これは、商業用のブロメラインには他のタンパク質分解酵素も含まれているために、エンケファリンの加水分解が起きるからではないかと考えられている。

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このプロセスを解明するには、ブロメラインがプロエンケファリンを分解する仕組みを理解することが不可欠だ。パイナップルの茎から抽出されるブロメラインは、タンパク質を主にアルギニンとリジンのアミノ酸対に分解する。プロエンケファリンには、これらのアミノ酸対が側面に位置する7つのエンケファリンの配列が含まれている。

化学合成したプロエンケファリンにブロメラインを加えたところ、アミノ酸が加水分解される際に、エンケファリンが分泌されることが分かった。

モルヒネがエンケファリンと同じ受容体に作用することからも分かるように、ブロメラインとモルヒネの効果は非常によく似ている。ブロメラインは、腸内微生物叢と腸表面の間でどんなやり取りが行われているかを知る上で、重要な鍵となるだろう。

研究チームは今後、食べ物だけでなく、タンパク質分解酵素を生産する微生物叢についても分析を行う予定だ。

 

reference: agencia.fapesp / written by まりえってぃ

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