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人間は本来幸せを感じることはできない (2/3)

2021.01.27 Wednesday

2019.07.23 Tuesday

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道徳性

現代社会に蔓延する幸福追求の概念は、「私たちが経験する不幸には道徳的理由がある」というキリスト教の行動規範が元になっています。つまり、不幸は自分自身の道徳の欠如、わがまま、物質主義によって生まれるため、放棄、分離、欲望の抑制によって心のバランスを保つことが大切だという考え方です。

でも現実には、これらの戦略が不幸を解決してくれるとは限りません。そこで、不幸は自分自身のせいなどではなく、私たちの設計図にもともと刻まれた自然のものだということを認識することが重要になります。

「道徳的に正しい方法で幸福を追求すべき」と考える人々は、向精神薬などの楽な方法を使う幸福への近道を否定します。幸福は、初めから自然に備わっているものではなく、獲得すべきものなのです。

Credit: pixabay

現実には幸福や満足をもたらしてくれる魔法の薬など存在しないので、問題はそれが違法であるということよりも、それが不可能だということになります。薬によって心の状態を変えることは可能ですが、幸福そのものは特定の脳機能のパターンに結びついていないため、それを化学的に再現することはそもそも無理なのです。

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