人間にも「8本の足」が!? 「仮想身体」とシンクロできるVR技術が開発

technology 2019/07/25

Point

■「ラバーハンドイリュージョン現象」を応用したVRにより、クモやコウモリの身体所有感を実現させることに成功

■「ラバーハンドイリュージョン」とは、無機物であるはずのゴム製の腕を自分の身体だと思い込んでしまうもの

■さらに手や指の微細な動きをVR空間に正確に反映させることで、クモやコウモリの動きとのシンクロに成功

VRを使って、人間以外の動物の身体に憑依する感覚を実現させることに成功したとドイツ・デュースブルク=エッセン大学の研究チームが発表しました。

今回の実験の目玉は、同じ人間や4本足の動物ではなく、コウモリやクモなど「人と大きくかけ離れた生物」の身体感覚を保有できたこと。

この摩訶不思議な実験、一体どういう仕組なのでしょうか?

「ラバーハンドイリュージョン」とは?

今回の研究では、仮想生物の体を自分のものと思い込むことが重要であるため、「ラバーハンドイリュージョン」という錯覚現象が応用されました。

ラバーハンドイリュージョンとは、無機物であるはずのゴム製の腕を自分の身体の一部と思い込む現象です。

Credit:search.yahoo

具体的には、机上にある自分の手が見えないようについ立てを挟み、その横に偽のラバーハンドを置いてそれだけが見える状態を作ります。そして自分の腕とラバーハンドの同じ場所を、同時に棒やブラシなどで刺激すると、ラバーハンドを自分の腕だと思い込んでしまうのです。

この錯覚現象は、人の脳がどれほど簡単に無機物を自分の身体の一部と錯覚してしまうかを証明しています。

VR空間でも身体錯覚は起きる

そして研究チームはこの錯覚を応用して、VRでの実証テストを実施しました。

被験者にはVRヘッドセットを装着してもらい、仮想現実の中で人間以外の動物(ゴリラやトラなど)になって、仮想身体の身体を見つめてもらいました。被験者が仮想身体を注視し続けている間、現実身体と仮想身体の胸あたりに同じような刺激を与えます。

すると被験者はラバーハンドイリュージョンと同じように、仮想空間の身体を自分のものと感じたのです。

Credit:technologyreview

しかし実験には限界もあり、錯覚が起こるのは仮想空間と現実空間の身体に対して同じ場所に同じ刺激を与えた場合のみ。つまり羽のあるコウモリや足が8本もあるクモの動きは、人間には模倣不可能なため、錯覚現象は崩れてしまうのです。

ところが研究チームはこの問題を、ラバーハンドのような刺激付与の方法ではなく、視覚的な合図だけでおこなうことに成功しました。

その方法は、被験者の手や指といった身体の動きを微細なレベルで検知し、VR空間に反映させるというもの。これにより被験者は、現実身体とかけ離れた仮想身体のシンクロ感覚を得ることが可能になったのです。

実験に参加した37名の被験者の報告によると、クモやコウモリに対する身体所有感は人間のアバターと同レベルであることが分かっています。

今後の改良次第では、映画『レディ・プレイヤー1』のような刺激対応型スーツが開発されるかもしれませんね。

ないものを「見せる」ことに成功! 光で脳神経を操作

reference: futurismtechnologyreview / written by くらのすけ

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