「世界最強のクモの糸」から未知のタンパク質を発見

animals_plants 2019/07/30
Credit: pixabay

Point

■ダーウィンズ・バーク・スパイダーというクモが生成する糸の一種から未知のタンパク質「MaSp4a」を発見

■「MaSp4a」には、柔軟性に関係する成分として知られているアミノ酸「プロリン」を豊富に含んでいた

■糸が分泌される「膨大部」と呼ばれる腺が、他のクモよりも長いことも分かった

ダーウィンズ・バーク・スパイダーという種類のクモを知っていますか?

このクモは、生物が生成する物質の中ではもっとも頑丈な糸でできた巣を造ります。今回その「最強の糸」の中から、未知のタンパク質が発見されました。

発見したのは、米国とスロベニアの複数の研究機関の研究者たちから成る共同チーム。論文は、7月25日付けで雑誌「Communications Biology」に掲載されています。

The transcriptome of Darwin’s bark spider silk glands predicts proteins contributing to dragline silk toughness
https://www.nature.com/articles/s42003-019-0496-1

超巨大な巣を支える世界一強いクモの糸

ダーウィンズ・バーク・スパイダーはコガネグモ科の一種。車輪型の巣を張ることで知られています。

今回研究チームは、そのダーウィンズ・バーク・スパイダーが糸を分泌する腺と、生成される糸に焦点を当てた調査を行いました。

巣の特徴は、強度だけではありません。その大きさは、幅25メートル、面積2.8平方メートルにもおよび、これは一匹のクモが造る巣としては世界最大です。

彼らは川を横切るようにして張られた巣を使って、他のクモには到達できない環境で生活し、獲物を捕獲することができます

Credit: Ingi Agnarsson, Matjaž Kuntner, Todd A. Blackledge – Lalueza-Fox, C., Agnarsson, I., Kuntner, M., Blackledge, T. A. / ダーウィンズ・バーク・スパイダーの巣

さらに先行研究では、このクモが7種類の異なるタイプの糸を生成し、巣のさまざまな部分の形成に使い分けていることが示されていました。

これらの糸の1種である「引き網」と呼ばれる糸は、この世で最強のクモの糸として知られ、「車輪」に強度を与える輪止めを造るために使用されます。

柔軟性に関係する「プロリン」を豊富に含むタンパク質を新発見

この「引き網」の成分を分析したところ、すでによく知られているMaSp1とMaSp2という2種類のスピドロイン(クモの糸に含まれるタンパク質)が見つかりました。これらは、多くの種類のクモの糸に見られる成分です。

ところが、彼らの引き網には、これら2種類のスピドロインに加えて、他のクモの糸には存在しない別の種類のスピドロインをもう1つ含んでいたのです。

MaSp4aと名付けられたこのタンパク質は、プロリンと呼ばれるアミノ酸を豊富に含んでいました。プロリンは、柔軟性に関係する成分として知られています。

また、MaSp4aは、MaSp1やMaSp2に含まれるその他の成分の含有量が少ないことも、もう1つの発見でした。

ダーウィンズ・バーク・スパイダーの体長はメスが約18ミリに対し、オスは約6ミリ / Credit: GalliasM

研究チームはさらに、ダーウィンズ・バーク・スパイダーが糸を分泌する「膨大部」と呼ばれる腺が、他のクモよりも長いことも突き止めました。研究チームは、「これこそが強靭な糸が生まれる手掛かりではないか」と推測しています。

特大サイズの膨大部で、通常より高い柔軟性を生み出すタンパク質を含む糸を分泌する…。そんな特殊機能こそが、ダーウィンズ・バーク・スパイダーが誇る巨大で頑丈な蜘蛛の巣を支えているんですね。

死んだはずの木が「ゾンビ」のように生き続ける不思議な現象

reference: phys.org / written by まりえってぃ

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