Point
■水中で潜水艦型からヒューマノイド型に変形する深海探査・修理ロボ「アクアナウト」が開発
■遠隔操作で目的地まで潜水移動し、細かな操作を必要とせず修理作業は自動で行う
■ヘッド部分にステレオカメラや3Dセンサーが搭載されており、周囲の詳細な映像をオペレーターに転送することが可能
水中で形を変形させる、深海のリアル・トランスフォーマーが開発されました。
「アクアナウト(Aquanaut)」は、潜水艦型から人魚のようなヒューマノイド型に変形するロボットです。
開発を行なったヒューストン・メカトロニクス社によると、アクアナウトは現段階で水深300mまで潜水することができ、生身のダイバーには危険すぎる場所での修理作業を担います。
また修理の際の細かな動きはロボットが自動で行うため、遠隔からの操縦は必要ないとのことです。
操作要らずで自動修理
アクアナウトの実証テストは、NASAの宇宙飛行士が訓練で使用する「ソニー・カーター訓練施設」で実施されました。ソニー・カーター訓練施設はおよそ2350万リットルの水量と深度12mを誇り、微小重力空間を作り出しす訓練専用のプールです。
開発主任のニック・ラドフォード氏によると、アクアナウトの変形過程は以下のとおり。
1.目的地まで長距離移動を行う無人潜水艦型
2.目的地到着後、上部カバーが開いて内部の頭部と2本の腕部を露出する
3.頭部が回転して上向きにセットされる(カメラや3Dセンサー、ソナーシステムなどが搭載されている)
4.2本のアームがセットされる(アームにもセンサーと強力なグリッパーが備えられている)
アクアナウトには電気自動車と同じリチウムイオン電池が動力として使われており、潜水艦型からヒューマノイド型に変わる時間はわずか30秒です。
頭部に内蔵されたステレオカメラや3Dセンサー、ソナーシステムを用いて周囲の詳細な状況を3Dレンダリングし、地上のオペレーターに映像を転送することができます。
その映像をもとにオペレーターが指示を出しますが、グリップ等の細かな操縦はまったく必要なく、アクアナウトが自動で完遂します。アーム部分もあらゆる方向に曲げることができるので、人間にはできない複雑な作業が可能となります。
現在のアクアナウトは水深300mとまだ比較的浅い場所用に設計されていますが、研究チームは今後、数百kmを遠隔で移動し、最高深度3000mまで潜水できるバージョンに改良するとのこと。
その後海洋での実証テストを経て実用可能と判断されれば、実際の水中にある石油やガス採掘装置の修理ロボットとして活躍する予定です。
あとは、トランスフォーマーたちのように意思を持って暴れ回らないことを祈りましょう…。