5分で脈動する新型変光星が発見される

space 2019/08/06
Credit: EUROPEAN SOUTHERN OBSERVATORY

Point

■脈動変光星は、時間とともに明るさが変化しまるで鼓動するように脈動する恒星だ

■これまで見つかっていた数分単位で脈動するタイプの変光星は、連星であり外側のガスを伴星に奪われることで成り立っている

■今回発見された変光星は、5分ほどで脈動しているが連星ではなく、まったく新しいタイプと考えられている

天文学者たちは星々の輝きからロマンとは別に、様々な科学的事実を見つけ出しています。

例えば、星の色は表面温度や周囲の構成要素を表しており、明るさは星の質量に関係しています。

脈動するタイプの星は、距離の測定に利用できる他に、星の内部構造を探るための手がかりになります。

通常、星の脈動は数100日近い時間を掛けて起こるものですが、今回5分ごとに明るさが変化する新型の脈動変光星が発見されました

非常に短時間で脈動する星は、これまで連星となった天体でのみ起こると考えられてきました。しかし、発見された星は連星ではなく、今までとは異なるタイプの新しい変光星と考えられています。

この星の発見は、恒星の進化モデルに新しい知見をもたらすことが期待されています。

この研究は、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究者により発表され、アメリカの天文学専門誌『アストロフィジカルジャーナル・レターズ』に掲載されています。

A New Class of Large-amplitude Radial-mode Hot Subdwarf Pulsators
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/ab263c

なんで星は脈動するのか?

ほとんどの星は、まるで心臓が鼓動するように脈動しています。

これは重力と星を取り巻くガスや物質の圧力がせめぎあって起こっている現象です。

恒星は通常、自らの重力によって周囲を取り巻くガスを含めて中心へ向けて収縮しています。

収縮すると、密度が高まり温度が上昇します。十分な圧力があれば、ここで核融合が起こり外側へ押し戻す放射が起こるというわけです。

星は脈動は、この流れを繰り返すことで発生します。

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こうした現象は太陽でも起こっていますが、とても微かな反応なので見ていてわかるようなものではありません。

こうした核融合による膨張と収縮は、非常にゆっくりしたペースで起こります。通常の変光星は数100日という単位で脈動しているので、普通に見ているだけではなかなか変化に気づくことはできません。

一般的に、星の脈動周期は高密度になるほど短くなることが知られており、非常に高密度の天体である白色矮星は数100秒という非常に短い周期で脈動を起こします。

ただし白色矮星はすでに死んでいて、かなり暗い星のため、通常観測にはもう少し良い状態の星を使います。

今回パルマー天文台で研究者たちが行った天体観測では、数分単位で脈動する変光星が探査されました。

この中で5分ほどで脈動する変光星が見つかったのですが、これが、今まで見つかっていた変光星とは大分タイプが異なるものだったのです。

B型準矮星

今回見つかった短い周期で脈動する星はB型準矮星と呼ばれるタイプに属する星です。

星は、明るさや色によって質量や温度を分類で、それによって星の種類を判別できます。準矮星というのは普通の恒星に比べて暗く、サイズも小型の星のことです。太陽よりも少し小さいタイプの星と考えるといいでしょう。

縦軸が明るさ、横軸が色で分類された星の種類。太陽はGと書かれている辺りに属している。/Credit:HeNRyKus/Wikipedia

通常の恒星は、中心で水素を使った核融合が終わり、核のすべてがヘリウムになってしまうと、核の外周部で水素の核融合が始まりどんどん膨張して赤色巨星と呼ばれる天体へ変化していきます。その後、この星は核融合で少しずつ外部のガスを放射していき、白色矮星になります。

しかし、連星等の場合、この過程が起こらずに、外部を取り巻くガスが伴星に奪われて、核が露出してしまう場合があります。こうして生まれたのが、白色矮星によく似た高温で小さいB型準矮星です。

これは白色矮星に似て、とても短い周期で脈動を繰り返します。なので、連星以外では作られることが無いと考えられていた天体でした。

しかし、今回発見された変光星は、連星にはなっていませんでした。それは、この星がこれまで発見されてきたものとは、生まれた経緯が異なる、新しいタイプだからと考えられるのです。

低温で低質量のコアのために、ヘリウムの核融合が起こらず、赤色巨星へと進化しなかったのかもしれません。

こうした星の存在は、これまで予想していなかったため意外な発見となったのです。

しかしこの星の存在は、きちんと検証すれば、これまでの主要な星進化モデルと上手く適合するだろうと考えられています。

この発見は、カルフォルニアのパルマー天文台で行われている望遠鏡に新しいカメラを取り付けた、広視野の天体天文調査『Zwicky Transient Facility』というプロジェクトの一環で発見されました。

研究者たちは、この調査がこの先もさらなる意外な発見をもたらしてくれるだろうと語っています。

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reference:ucsb.edu/ written by KAIN

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