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今回観測された古代銀河の想像図。図中の4つのモヤの中で爆発的に星が生まれている。/Credit: 国立天文台
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見えないはずの「超古代銀河」を39個も発見! 従来の説では説明できず

2019.08.09 Friday

Point

■アルマ望遠鏡が、これまで見ることのできなかった、古代の巨大銀河を大量に発見した

■あまりに古い天体は、地球に届く光が非常に長波長になるため、従来の望遠鏡では見えていなかった

■110億年以上前に誕生した銀河の大量発見は、従来の宇宙進化理論では説明がつかず、大きな謎を投げかけている

東京大学を始めとした国際研究チームが、110億年以上過去に遡った宇宙で、見えない巨大銀河を39個も発見しました。

これらは活発に星を作り出している巨大銀河で、発見された数やサイズ、年代から考えると、従来の宇宙進化理論ではその存在に説明がつかないと言います。

この観測成果は、東京大学、国立天文台の研究者を初めとした国際チームから発表され、2019年8月7日付けで科学誌Natureに掲載されています。

A dominant population of optically invisible massive galaxies in the early Universe
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1452-4

見えない銀河

この研究の話を聞いていると、「見えない銀河を発見した」という矛盾した表現に疑問が浮かびます。これは一体どういう意味なのでしょう?

私達にとって見えるというのは、可視光波長の光(電波)を捉えるという意味です。可視光波長から外れると、その光は届いていたとしても私達には見えません。

私達の目には見えないリモコンから出る赤外線電波の光が、携帯カメラを通すと見ることができるのはこのためです。

望遠鏡も同様で、私達の目よりは優秀ですが、見ることができる波長帯域には限界があります。

そのため、プロの天文学者たちが天体観測を行う場合、まずどんな望遠鏡で、どの波長の光を見るか、という選択をしなければならないのです。

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天体観測では主にサブミリ波から可視光までを捉えて行う。/© 国立天文台

現在もっとも天体観測を頑張っているハッブル宇宙望遠鏡は、可視光と赤外線が観測可能な波長です。そのため、ここから外れた波長しか出ていない天体は、多くの天文学者にとって「見えない」天体になるのです。

遠い天体や、活発に活動する塵の多い銀河などは、長い波長の光以外観測することがとても困難になります。これは夕日が赤いのと理由は同じで、波長の短い光は宇宙の塵に遮られてしまい地球まで届かないためです。

今回の研究チームは、ハッブル宇宙望遠鏡の画像には写っていないのに、スピッツァー宇宙望遠鏡には写っている天体があることに注目しました。

スピッツァー宇宙望遠鏡は赤外線観測がメインなので、ハッブル宇宙望遠鏡より長い波長の光を見ています。これは、ハッブル宇宙望遠鏡では現在見落としている天体が存在する可能性を示唆しています。

しかし、スピッツァー宇宙望遠鏡は解像度が低く、写っている天体が何であるのかは特定できませんでした。

そこで、彼らは南米チリにある高精度の巨大電波望遠鏡アルマを用いて、これらの天体の観測を行ったのです。

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アルマ望遠鏡。大気の影響を受けにくい乾燥した標高5000mの高原に建設されている。/Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/O. Dessibourg

アルマ望遠鏡は山手線圏内と同じくらい広大な範囲に、12m近い巨大なパラボナアンテナを66台並べた巨大電波望遠鏡です。

これは赤外線よりも更に波長の長い、サブミリ波というものを高い精度で観測することができます。すると、これらの内39個が110億年以上前に存在した、巨大銀河であることが明らかになったのです。

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左がハッブル宇宙望遠鏡、右がアルマ望遠鏡の画像。ハッブルでは何も写っていない場所に天体の姿が確認できる。/Credit:東京大学/CEA/国立天文台

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