まるで細胞。ふしぎな星の画像をハッブル宇宙望遠鏡が撮影

space 2019/08/26
Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Wade

Point

■NASAのハッブル宇宙望遠鏡がガスに包まれた星の姿を公開した

■これは赤色巨星と呼ばれる年老いた星で、自身の質量の半分近くを宇宙空間へ失ってガスの殻を形成している

■星の中心部はさらなる収縮を始めて高温になっており、そこから放出された紫外線がガスを発光させている

なんだか星というよりも、顕微鏡で覗いた細胞みたいですね。

上の画像は、NASAのハッブル宇宙望遠鏡が捉えた赤色巨星の姿です。

NGC2022と名付けられたこの天体は、年老いて星の質量の半分近い物質を外側へ放出してしまい、ガスの殻に包まれながら輝いています。

この画像は、NASAのホームページ上で、2019年8月16日に公開されています。

Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Wade

赤色巨星とは、太陽のような恒星が水素の核融合をあらかた終えた状態の星を指します。

恒星の人生にはいくつかの段階があり、中心核で水素をヘリウムへ変える核融合が盛んな状態だと太陽のように明るく燃え上がりますが、中心核の核融合が終わると、核が収縮し、もっと外側の外層部分で水素の核融合が始まるのです。

この外層の核融合は、中心から遠いために重力による拘束力が弱く、核融合のエネルギーでどんどん外側へと膨張していきます。星の中心部は高温ですが、外側へ膨張した部分は低温になっていくため、赤く輝いて見えるようになります。

「温度が高いほうが赤い」というイメージがあるかもしれませんが、赤はエネルギー量の低い光です。高温の物質はよりエネルギーの高い光である青白い輝きを発します。

この外層の核融合によって老いた星が、赤く膨らんだ赤色巨星になるのです。

太陽もあと50億年も燃え続ければ、中心核の水素核融合が終わり、赤色巨星になると言われています。そうなると太陽の表面は、地球軌道まで膨れ上がるでしょう。

おそらく地球の一生はそこで終りです。

大きく膨れた赤色巨星は、後にその質量によって異なる運命をたどりますが、比較的重い星は自重で収縮した中心部でさらに重い元素の核融合が始まり高温になっていきます。

層を成す赤色巨星の核。重力が強ければ順々に重い元素が作られていく。Credit:JAXA/R. J. Hall

外側に膨らんだ部分は、重力の影響が少ないため、やがて星から離れてガスへと変わっていきます

この画像はそんな、外側へ膨れた部分がガスの殻となって星を包み、中心核のさらなる核融合によって放たれる紫外線を浴びて輝いている姿を捉えたものです。

質量に応じた星の進化。/Credit:AstroArts/ESA

ちなみに、こうしたガスの殻に包まれた天体は、「惑星状星雲」と呼ばれています。実際は、今説明した通り惑星ではないのですが、これは精度の低い初期の望遠鏡でこの天体を観測した人が、ガスの殻を丸い惑星と勘違いしたことに由来しています。

天体の名称は、この様に初期の観測で勘違いして付けられたネーミングを、そのまま使い続けているものが数多く存在しています。

最初に発見した人たちをリスペクトして、そんな間違った認識の名前が、そのまま使用されている…ならいいのですが、単に呼び方を一斉に変えるタイミングが掴めなかっただけなのかもしれませんね。

地球サイズの太陽系外惑星を3つ発見! 1つは水が存在するハビタブル

reference:NASA,JAXA/ written by KAIN

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