なぜ? 大量の「軽石」がオーストラリアに向かって航海中

geoscience 2019/08/27
Credit:earthobservatory.nasa

Point

■太平洋の海底火山噴火によるものと思われる「大量の軽石」が海上に浮かび上がっているのが発見された

■発生源となる海底火山の場所は明らかになっていないが、NASAが衛星により撮影したところ、軽石の筏はマンハッタン島に匹敵するサイズがあるという

■軽石はオーストラリアへ向け移動中で、サンゴなどの海洋生物を付着させグレートバリアリーフへ運んでくる可能性があるという

8月某日、オーストラリアの東の海洋を航行中の船から、大量の軽石が海上に浮かんでいるという報告が寄せられました。

そこにはバスケットボールサイズの軽石などが大量に浮かんでいて、硫黄の匂いが漂っていたといいます。

この報告を元にNASAが衛星により該当地域を撮影したところ、マンハッタン島に匹敵するような巨大な軽石で出来た島影を捉えたのです。

この巨大な軽石の島は、海上に浮かんで流されており、オーストラリアのグレート・バリア・リーフに向けて移動しているとのこと。一体その正体は何なのでしょうか。

詳細は8月13日、NASA地球観測所のホームページ上で報告されています。

巨大な軽石の筏(いかだ)

海底火山の噴火は誰に知られることもなく、ひっそりと大噴火を起こすことがあります。

そのため、噴火の事実を知らないまま、海上に起こった異変で初めてその事実を知ることも少なくありません。

そんな海底火山噴火の痕跡の1つが、海上に大量に浮かび上がる軽石です。

軽石は溶岩が冷えて固まることでできる、多孔質の非常に軽い岩石で、水にも浮かびます。こうした軽石の筏を軽石ラフト(pumice raft)と呼びます

軽石ラフトは船乗りによって発見されることがあり、今回もフィジー近海を航海中の船により報告されました。

発見場所はトンガの北400kmほどの海上だといいます。

軽石ラフト発見位置。/©2019 Google

そこには硫黄(硫化水素)の匂いが漂いバスケットボールサイズの軽石なども浮かんでいて、スクリューに詰まるなど航海には危険な状態になっていたといいます。

その様子は発見した船「Sail Surf ROAM」のFacebookにも投稿されています。

船員のMichael Hoult氏がフェイスブックで報告した軽石の様子/Credit:Sail Surf ROAM/Facebook

また、別の船乗りShannon Lenz氏がそんな不気味な海上の様子を、動画でYoutubeに投稿しています。

海上をどこまでも広がる軽石/Credit:RealLifeLore/Youtube

どこまでも軽石が浮かぶ海は、なんとも異様な光景です。船の上も大変なことになってしまっています。

Credit:RealLifeLore/Youtube

この軽石がどのくらいの範囲に浮かんでいるのか、NASA地球観測所が衛星で該当地域を撮影したところ、軽石ラフトは米ワシントン州マンハッタンに匹敵する大きさがあったといいます。そりゃどこまでも軽石が浮かんでいるはずです。

右上の画像が衛星写真と同じスケールで表示したマンハッタン島。/Credit:earthobservatory.nasa

スミソニアンの火山学者は、トンガ近くの無名の海底火山の噴火が原因であると考えています。

この軽石の筏は、このまま行けばやがてオーストラリアのグレート・バリア・リーフへ到達するだろうと予測されています。

なんともはた迷惑な存在にも見える軽石の筏ですが、実は悪いニュースばかりでもないようです。その1つが、こうした軽石ラフトが海洋生物を運ぶ船になるというものです。

この軽石たちは、ニューカレドニアとバヌアツを経由してサンゴ礁地域を通過する可能性が高いと考えられています。この地域では今年の後半に産卵時期があり、その際、軽石は新鮮なサンゴの卵を大量に付着させてそれをグレート・バリア・リーフへ持ち込んでくれるというのです。

現在オーストラリアのグレート・バリア・リーフでは、地球温暖化の影響によるサンゴの死滅が問題となっています。この軽石はそんなグレート・バリア・リーフのサンゴ礁を一時的にでも回復させる効果があると期待されているのです。

もっとも、地球温暖化が進む以上、そんなことは正に焼け石に水でしょうが。

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reference:sciencealert,NATIONALGEOGRAPHIC/ written by KAIN

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