ついに「バーチャル人体実験」の時代がきた。最新技術で倫理問題に挑戦

technology 2018/05/20

Point
・医薬検査のシミュレーションが可能な仮想人体の作成に成功
・通常の動物実験より10%以上精度が高い
・動物実験の減少や患者のリスクを下げることが期待される

 

ついに仮想人体実験ができる時代になりました。

オックスフォード大学コンピュータサイエンス部門は、心臓の医薬検査をシミュレーションできる仮想人体を作り出すことに成功しました。このシミュレーションによって、動物実験による倫理問題の克服や医薬品の安全性を高めることが期待されています。

医薬品は通常、効能がありそうな物質の発見や作成をする基礎研究を行い、薬物の有効性や安全性を確かめるために動物で実験する非臨床試験を行います。その後、人での実験を行う臨床試験に進み、承認が得られれば、医薬品を製造販売することができます。基礎研究から製造販売までの期間は、10年以上かかると言われてます。

基本的に人と動物は生物学的な違いは少ないです。しかし病気を患っている人となると、話は別になります。動物実験での医薬品による患者の薬物反応は75%から80%までしか分かりません。

しかし今回の仮想人体実験では、89%から96%という高い精度で、不整脈などの薬物反応を得ることができました。またこのシミュレーションによって、動物実験の減少や、臨床試験での患者のリスクを下げることができ、医薬品の開発が早まることが期待されます。

この仮想人体は、1つの細胞から心臓までを調べることができます。また、健康な時の心臓の状態や病気の時の状態、薬が反応しているときの様子も確認することができます。

さらに、染色体変異や病気など様々な状態に合わせてシミュレーションを行うことができます。このように、創薬にコンピュータを用いることをインシリコ創薬と呼びます。このシミュレーションは非常に早く、ラップトップ型パソコンでも5分以下で、100人もの心臓の細胞の検査が可能です。

すでにいくつかの製薬会社は、このシミュレーションを取り入れているとのことです。

しかし、このシミュレーションにもまだ課題が残っています。3Dモデルでの心臓のシミュレーションを行うには、かなりの高スペックなコンピュータが必要になってきます。それはスーパーコンピュータでも、一回の鼓動を再現するのに3時間かかってしまうほどです。

研究チームは現在、3Dシミュレーションや病気の状態も考慮できるような広範囲の薬の影響を調べることができるよう取り組んでいます。また、この研究チームが属している機関では、人間の全体をコンピュータモデルで作る本当の仮想人間を作っています。

科学技術と医療技術の進歩によって、動物実験が不要になる時代が来るかもしれませんね。

 

人間の脳、実は量子コンピューターだった? 科学者が本気で実験を開始

 

via:The Conversation/ translated & text by Nazology staff

 

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