常識を覆す? 古代ローマのガラスの泡によって解き明かされたその製造方法とは

history_archeology 2018/03/27

オーストラリア国立大学(ANU)の芸術家・物理学者・古典学者が、ローマガラスの製法における常識を覆すような発見をしました。

これまで古代ローマの「カメオ・ガラス」の製法については、吹き技法かコールドプレス成形かで意見が別れており、支持を得ていたのは吹き技法でした。しかし今回、カメオ・ガラスの破片を特別なスキャナーで調査、その中に含まれる泡の形や分布を見たところ、コールドプレス成形であることがわかり、議論を巻き起こしています

カメオ・ガラスは、紀元前30年から西暦50年までに古代ローマで作られた、青地に白のレリーフ(浮き彫り細工)が浮かび上がった高級なガラス製品です。ANUの准教授でガラス芸術の達人でもあるリチャード・ホワイトリー氏は、專門家の力を借り、X線を使ってこのガラス片の三次元顕微鏡画像を得ました。するとガラスの中の泡は歪み、青い層と白い層の両方に分布していました。吹き技法だと泡は引き伸ばされた形になるはずなので、これはサンプルが熱く溶かしたガラスを型に流し込んで作られたことを示しています。

Credit: galleryjapan

この技法は、パート・ド・ヴェールと呼ばれるコールドプレス形成によるガラス製造法に似ています。パート・ド・ヴェールとは、フランス語で「ガラスの練り粉」の意味。粘土で作品の形を作り、ガラス粉を型の中で溶融させて成形して作ります。

ホワイトリー氏はこの結果で得られた画像データと、自身の芸術家としての経験から導きました。中には納得しない研究者もいますが、ガラスの歴史研究の専門家の一人は、彼の論文を評価し、ANUのスキャナーに興味を示しています。

Credit: ポートランドの壺

ホワイトリー氏の次の目標は、パート・ド・ヴェールの技法を使って、大英博物館にある「ポートランドの壺」のようなカメオ・ガラス製品を作り、2000年前に失われた技法を現在によみがえらせることだそうです。ぜひお目にかかりたいですね。

 

via:Phy Org/ translated & text by Nazology staff

 

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