器の中身が固体と液体で「逆回転」するって知ってた? タピオカで実験してみた!

science_technology 2019/09/03
Credit:Harvard John A. Paulson School of Engineering and Applied Sciences/YouTube

Point

■器を回転したとき、液体は器と同方向に回転するが、固体だと逆方向に回転する

■少し大きめの粒子で実験すると、粒子の密度によって2つの動きを同時に観察することができる

■こうした状態変化による振る舞いの変化は長年未解決であったが、全て粒子の密度と摩擦の関係で説明できる

テイスティングでワイングラスを時計回りに回すと、中のワインも同じように時計回りに回ります。

しかし器の中身が固体の場合、器を時計回りに回すと、中の物質は反対方向に回るということに気付いている人はいるでしょうか。

実はこの現象には、長年の間未解決となっていた液体状態から固体状態への移行が、どのようにして起こるかという問題と密接な繋がりをもっています。

ちょっと分かりにくいと思うので、実験しながらこの現象の意味を見ていきましょう。

今回の研究は、ハーバード大学の大学院生Lisa Lee氏を筆頭とする研究チームより発表され、多体系の集合現象を取り扱う科学雑誌「PHYSICAL REVIEW E」に7月8日付けで掲載されています。

Geometric frustration induces the transition between rotation and counterrotation in swirled granular media
https://journals.aps.org/pre/abstract/10.1103/PhysRevE.100.012903

容器と中身の回転関係

容器の回転に対して順方向に回るか、逆方向に回るかという状態については、まず動画で見てもらうのが早いでしょう。

Credit:Harvard John A. Paulson School of Engineering and Applied Sciences/YouTube

この動画では反時計回りに容器を回していますが、中の小さなビーズは容器と同じ反時計回りに回っているのが分かります。

液体では分かりづらいので細かなビーズを使っていますが、液体はこれと同じ原理で、器をくるくると回すと同じ方向へと運動します。

ところが、固体でこれと同じことをやった場合、器とは逆方向に回るのです。

Credit:Nazology

この動画では、分かりやすくするため丸いプラスチックパックに一本線を描いてあります。このプラスチックパックは容器を時計回りに回すと、その回転とは反対の反時計回りに回り出します

これは固体状態と液体状態で物質の振る舞い方が異なっていることを示しているのです。しかし、そもそも固体と液体は何が違うのでしょうか? 物質はどうなった場合に液体として振る舞い、どうなれば固体として振る舞い始めるのでしょうか?

実は物質がどのように液体状態から固体状態へ移行するかという問題は、長年にわたって未解決の問題でした。

ここでLee氏の研究チームは、先程の実験を小さなビーズの数を増やして行ってみました。

Credit:Harvard John A. Paulson School of Engineering and Applied Sciences/YouTube

これも反時計回りに器を回していますが、中身のビーズの動きはどうでしょうか? 先ほどとは異なり、器の動きとは逆の時計回りに動き出しています。

容器の中をビーズで満たすと、なんと固体の場合と同じように振る舞い出したのです。

ビーズは液体や固体などの状態変化とは関係なく、同じ物質を同じように動かしているのに、振る舞い方に違いが生まれてしまいました。この違いはどうして生まれたのでしょうか?

液体を固体へ変える原因

粒子の集合体に振る舞いの変化が起きたのは、摩擦が原因です。

少ないビーズで実験した場合には、それぞれの粒子はほとんど摩擦の影響を受けません。そのため容器の動きに合わせて一緒に回るのです。しかし、粒子の量が増えて互いに接触する粒子が増えた場合、それぞれの粒子は互いの摩擦力によってグループを凝固させて、挙動に変化をもたらします

固体のプラスチックパックを回した場合に、容器の動きと逆方向に回ったのは、パックの端が容器の外周に引っかかったことが原因です。しかし、液体の場合には、摩擦は非常に小さいためにこうした影響が現れません。

つまり、物質の固体化の原因はその物質を構成する粒子同士の摩擦によって決まるのです。

確かに砂浜でも、乾いた砂は液体のように動き回り足を取られて歩きにくいですが、濡れた波打ち際だと地面はしっかりと固まり歩きやすくなります。

このことから、Lee氏らはコンピューター・シミュレーションを使って、全ての粒子の摩擦を取り除いた場合に粒子がどれだけあっても固まらないということを実証しました。

それは本当かな? ということで、ナゾロジーでも摩擦がほとんど無いと思われるタピオカの集合を使って実験してみました。

何か別のものにも見えるタピオカ集合体 / Credit:Nazology

容器を満たすビーズを回した動画と比べると、タピオカは容器の動きと一緒の方向に回っているのがわかります。摩擦が働かない場合、粒子は集まっても固体としては振る舞わないのです。

物理的には重要な課題に触れる実験が、こんな簡単な方法で見ることができるのはなかなかに面白い事実です。単純なお話のようですが、この研究もフィジカルレビューに掲載されていることから、かなり意義深い問題を指摘しているようです。

タピオカが液体のようにちゅるちゅると飲みやすい理由は摩擦が無いからなんです。つまりこの論文はタピオカは飲み物ということを言いたかったんですね(違います)。

謎だった「回る卵が起き上がる現象」が解明されたので、実際にやってみた

reference:Phys/ written by KAIN

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