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白いメンフクロウは月明かりを反射させて獲物を仕留めていた

2021.01.27 Wednesday

2019.09.07 Saturday

メンフクロウ / Credit: depositphotos

Point

■世界中に生息するメンフクロウには、赤茶色の体毛をした個体の他に真っ白な羽毛を持つものが存在する

■夜行性のメンフクロウは夜に狩りをするが、赤茶色よりも月明かりに目立つはずの白い個体の方が狩りの成功率が高かった

■獲物となるネズミは明るい光に対する本能的な恐怖を持っており、白い羽毛に反射する明かりがその役割を果たしていた

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夜行性の猛禽類を象徴する鳥として知られる「メンフクロウ」は、南極大陸を除くすべての大陸に生息しています。

メンフクロウの特徴は、同種間でも体毛の色が個体で異なることです。赤茶色の羽の個体がいる一方で、雪のように真っ白な羽を持つ個体もいます。

長年専門家たちを悩ませてきたこの問題が、スイス・ローザンヌ大学の研究によりついに解決されました。なんとメンフクロウの白い羽毛は、月明かりを反射して獲物となるネズミに恐怖を与える機能があることが判明したのです。

白い羽毛は、夜行性の動物にとって目立って不利になるかと思いきや、赤茶色のメンフクロウよりも狩りの精度が高いこというのです。

研究の詳細は、9月2日付けで「Nature Ecology & Evolution」に掲載されました。

Differential fitness effects of moonlight on plumage colour morphs in barn owls
https://www.nature.com/articles/s41559-019-0967-2

白いフクロウの方が狩り上手?

夜の森の明るさは、月の周期によって変わります。

例えば、新月()のときに外に出ると懐中電灯が必要なくらい暗いものですが、反対に満月の夜では人工灯がいらない程の明るさが保たれています。

こうした状況を考えると、満月のような明るい夜では、獲物となる齧歯類(ネズミ)に見つかりやすいため、フクロウのハンティング精度は落ちると思われます。さらに、赤茶色よりも白色の方が月明かりを反射しやすいので、白のメンフクロウは余計に狩りの難度が上がるはずです。

白いメンフクロウと赤茶色のメンフクロウ/Credit:theconversation

ところが、20年以上にわたる研究チームの追跡調査の結果、予想外の結果が確認されました。

データによると、メンフクロウはやはり月が明るい夜に狩りの成功率が落ちていたのですが、この法則が当てはまったのはなんと赤茶色の個体だけだったのです。

反対に、白いメンフクロウは月の明るい満月の夜でも、新月のときと同等のハンティング精度を保っていました。もちろんこれは、白いフクロウの方が身体的に優秀だからという理由によるのではありません。

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