Point
■農地の上に太陽光パネルを設置する「ソーラーシェアリング」が話題に
■太陽光による発電をしながら、パネルにより、土壌表面の温度上昇や水分蒸発を抑制することが可能
■売電収入により、農業に必要な費用を支払うことができるため、農家経営の安定化にも繋がる
太陽光発電と農作を同時に行う「ソーラーシェアリング」を知っていますか?
ソーラーシェアリングとは、太陽光発電パネルを農地に設置することで、農業を続けながら発電所としても活用することができる手法です。
日本国内では、農業の担い手が時代とともに減少し、放棄されている農地も増え続けています。そこでソーラーシェアリングを導入することで、衰退する日本農産業の再生が期待できるかもしれません。
研究の詳細は、9月2日付けで「Nature Sustainability」に掲載されました。
https://www.nature.com/articles/s41893-019-0364-5
一石二鳥の「ソーラーシェアリング」とは
アメリカ・アリゾナ大学のバロン・ガフォード教授は、ソーラーシェアリングの効果について次のように説明しています。
まず大きなソーラーパネルの下には日陰ができますが、その日陰によって、農地表面の温度上昇と水分の蒸発量を抑制します。そしてパネル自体の温度も、裸地に設置するより植物の生えた農地に設置することで温度が下がります。
太陽光パネルは温度が高いほど発電効率が落ちてしまうので、農地上の方が発電量が増加するのです。
実際にソーラーシェアリングの効果を実証するため、夏の間に3つ区画を設けてある実験を行いました。
1区画目には太陽光パネルのみを設置、2区画目には農地のみ、そして3区画目がソーラーシェアリングです。この場合のソーラーパネルは、作業スペースを設けるため、通常の架台よりも高い地上3メートルに設定されました。
3つの区画は同じように水を引き、温度や湿度および土壌の水分を追跡調査を実施。その結果は予想通り、ソーラーシェアリングの区画で最も環境の変化が起こっていました。
日中温度は、他の2区画に比べて平均して1度低くなり、反対に夜間は0.5度高くなっています。さらにパネル自体の温度も、下で育っていた作物のおかげで日中は9度も低く、土壌とパネルとの間にある空気の乾燥も少ないことが確認されました。