ダイヤモンドも消える「黒」!ベンタブラックの黒さを超える新素材が開発される

technology 2019/09/16
Credit: R. Capanna, A. Berlato, and A. Pinato by Live Science

Point

■光を99.996%以上吸収するカーボンナノチューブが開発され、イエローダイヤモンドの表面をコーティングする実演が行われた

■この新素材は、アルミホイルの表面上でカーボンナノチューブが形成されるプロセスの研究中に偶然作られた

■この新素材は、世界一黒いとされてきたベンタブラックを含む他の素材と比較してもずっと黒い

99%光を吸収する「闇の惑星」は何色なのか

ニューヨーク証券取引所で、芸術家と科学者のチームが、「16.78カラットのダイヤモンド(2.1億円相当)を消す」という前代未聞のパフォーマンスを行いました。

「なぜそんな場所で、そんなことを…?」という疑問が浮かびますが、確かに証券取引所は「大金の損失」と無関係な場所ではありません。ですが、今回の取引はもっと奥が深いものでした。

芸術家のディエムト・ストレーべ氏とマサチューセッツ工科大学の研究チームが披露したのは、塗布した物体に照射する光をほぼ100%吸収し、真っ黒な状態に変える新発明のカーボンナノチューブ。その素材でイエローダイヤモンドの表面をコーティングすると、その輝きが完全に見えなくなるというマジックでした。

論文は、雑誌「ACS Applied Materials & Interfaces」に掲載されています。

Breakdown of Native Oxide Enables Multifunctional, Free-Form Carbon Nanotube–Metal Hierarchical Architectures
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsami.9b08290

びっしり生えたナノチューブの「森」に絡め取られる光子

今回発見されたナノチューブ構造は、これまで開発された黒い色素の10倍は黒く、それに触れる光を99.996%以上吸収します。

研究チームは、アルミホイルなどの表面上でカーボンナノチューブ(炭素原子が網目のように結びついて筒状になったもの)が形成されるプロセスの改善を試みていた最中に、偶然この新素材を開発しました。

Credit: depositphotos

アルミホイルの欠点は、空気に触れる度に酸化物の層が形成され、ナノチューブとホイルの間に邪魔な化学物質のバリアができることです。これらの酸化物を除去するため、研究チームはホイルを塩水に漬け、酸素に邪魔されずにナノチューブを形成できる小型オーブンの中へ入れました。

すると、絡まり合ったナノチューブが毛のようにホイル表面にびっしりと生い茂り、それに絡め取られた光子が行き場を失い、ホイル表面から脱出できなくなったのです。

こうして、ホイルは真っ黒な状態に変化しました。あまりにも黒すぎて、ホイル表面の凸凹さえまったく見えないほどでした。

その黒さはベンタブラック以上

研究チームはこの素材と、これまで最も黒いとされてきたベンタブラック(可視光の最大99.965%を吸収)に代表される光を吸収する複数の素材のナノ構造を比較。

その結果、後者のナノ構造間の違いが人間の目には取るに足らないほどのものであるのに対し、新素材はどんな角度から光を当てた場合でも、他のどの素材が示す黒色よりもずっと黒いことが示されました。

確かに、イエローダイヤモンドのすべてのカット面からは完全に輝きが消え失せ、そこには漆黒のブラックホールがぽっかりと空いているように見えるだけです。

Credit: depositphotos

奇遇にも、この素材を望遠鏡を備え付けられたシェードに塗布することで、天体から届く強い光を軽減し、実際のブラックホールを見えやすくするという活用法も将来的には実現化しそうなのだとか。

黒よりも黒い『黒』はダイヤモンドの輝きのみならず、様々なものを飲み込んでしまうんですね。

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reference: livescience / written by まりえってぃ

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