観測史上もっとも巨大な中性子星が発見される

space 2019/09/18
Credit:Casey Reed/Penn State University

Point

■観測史上最大と目される中性子星が発見された

■天体のサイズに対し、詰め込まれている質量の規模がこれまでで最大で、物質をコンパクトに押し込める限界にかなり近い

■こうした天体の発見は、どこまでの質量なら物質としての形状を維持でき、どこからブラックホールとなるかの転換点を知るための重要な手がかりになる

中性子星は恒星の死んだ姿の一つで、大質量の恒星が超新星爆発を起こした後、圧縮されてできた残骸の星です。

今回発見された中性子星は「J0740+6620」と呼ばれる天体で、地球から4,600光年離れた場所に見つかりました。直径は20〜30キロメートル、重さは太陽質量の2.17倍と言われています。

中性子星は通常、太陽の10倍から29倍の質量を持つ天体が超新星爆発を起こした後に誕生します。そう考えると、現在の太陽の2.17倍という質量は大したことが無いように思えてしまいますが、通常の天体は超新星爆発によって構成物質のほとんどを失ってしまいます。

そのため中性子星の質量としては、太陽の2.17倍という重さは最大クラスの記録です。

この研究に関する論文は、ウェストバージニア大学の天文学者チームより発表され、9月16日付けで天文ジャーナル「Nature Astronomy」に掲載されています。

Relativistic Shapiro delay measurements of an extremely massive millisecond pulsar
https://www.nature.com/articles/s41550-019-0880-2

中性子星の観測

Credit: B. Saxton(NRAO/AUI/NSF)

今回の中性子星はパルサーと言われるタイプの高速回転している天体で、まるで灯台のように極点から電波のビームを飛ばしています。その電波は、宇宙の原子時計に例えられるくらい規則的です。

もしこうした中性子星が、地球から見て水平に並ぶような軌道で他の恒星と連星をなしていた場合、食を起こした際の電波の遅延によって質量を測定することが可能になります

これはかなり限定された条件ですが、今回発見された「J0740+6620」はこの要件を満たしていたため、正確な質量を測定することができたのです。

Credit:White Dwarf Star Warps Space, Causes Pulse Delay – Animation/BSaxton, NRAO/AUI/NSF

こうして計測された中性子星の密度と質量は、角砂糖1個ほどの大きさを取り出しただけでも1億トンになると言います。これは人類全体の体重の合計に近い値です。

この天体は一つの物体の中にどれだけ物質を詰め込み重くできるかの限界にかなり近いだろうと考えられています。

恒星は死んだとき、その重さによって超新星爆発後の状態を中性子星とブラックホールに分岐させます。この2つの状態の分岐点となる条件は、現在も詳しくはわかっていません。

今回の観測史上もっとも重い(巨大な)中性子星の発見は、こうしたブラックホールを形成するための条件を知るための、重要な手がかりになると考えられているのです。

ブラックホールになる限界ぎりぎりの質量というのはどんな状態なのでしょう? なにか重いものを加えたらいきなりブラックホールになってしまったりするんでしょうか? 宇宙はスケールの大きい不思議な話が多く、謎ばかりが浮かんでしまいますね。

この中性子星の発見も、そんな宇宙に潜む不思議な性質に少しでも近づく手がかりになるのでしょう。

ブラックホールが奏でる「和音」の検出に成功

reference:Phys,Space.com/ written by KAIN

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