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不規則な変光を繰り返すタビーの星、原因は「溶ける惑星」かもしれない (2/2)

2021.01.27 Wednesday

2019.09.20 Friday

前ページ不規則な変光星 タビーの星

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はぐれ星 プルーネット

しかしコロンビア大学の天体物理学者Brian Metzger氏は、タビーの星を取り巻くこの不可解な状況について「説明は可能だ」と主張します。

彼によると、この不規則な減光の原因は「プルーネット」ではないかというのです。

プルーネットとは、惑星の衛星軌道から外れて恒星の軌道上を回るようになった月のような存在です。衛星だったものが惑星にクラスチェンジした天体を指しています。

ゲーム「ファイナルファンタジー4」では、エンディングで月が地球(?)の軌道を外れて外宇宙へと飛び去っていくシーンが描かれています。そのような出来事が実際、宇宙のどこかで発生する可能性があるというのがプルーネットの考え方です。

もしプルーネットが恒星に引かれて、親惑星よりも内側の惑星軌道へ入り込んだ場合、今までよりも強い恒星の放射に晒されることになります。すると、まるで彗星のように外層の氷が溶かされて、軌道上に大量の塵の雲を作り出すのだと考えられているのです。

Credit:NASA/FUSE/Lynette Cook

木星は水星などの惑星よりも巨大な衛星を持つことが知られています。もし木星のような巨大ガス惑星の衛星が、プルーネットとなって恒星の近くで溶け出したとしたら、タビーの星の不規則な変光についても説明できるかも知れません。

ただ、プルーネットは現在のところ理論上仮定されているだけの天体で、実際に発見報告や存在を証明するような観測記録は存在していません。

そもそも、自ら光ることのない太陽系外の惑星自体が観測することが難しく、現在の技術では太陽系外の惑星が衛星を持つかどうかさえ証明できていないのが現状です。

しかし、Metzger氏は月が惑星を離れて太陽の内側の軌道を回りだすことは、決して珍しい現象ではないはずだと語っています。

タビーの星以外に、似たような変光を起こす天体は、現在発見されていません。しかし、似たような星が他にも見つかったなら、この現象の原因とともにプルーネットの存在も証明できるようになるかも知れません。

ちなみに、タビーの星の変光の原因がエイリアンの構造物という説は、光のスペクトルによって減光の割合が違うという理由で否定されています。こういう減光の仕方は不透明な構造物が原因ではなく、一部のスペクトルを吸収する塵が原因だろうということです。

まあ、そりゃそうですよね。

5分で脈動する新型変光星が発見される

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