「やればできる」と信じる成長マインドセットには意味がなかった

psychology 2019/09/24
Credit: CC0 Public Domain

Point

■知的能力は成長させられるといった「成長マインドセット」に、ポジティブな効果がないことが指摘された

■子どもたちが困難を乗り越える上で重要なのは、マインドセットではなくハードワークと粘り強さだった

■「成長マインドセット」の研究は1980年代から始まったが、今回の研究がその効果を否定するものとなった

大人のADHDを改善する7つの効果的な方法

知的能力は不変なものではなく、成長させ続けることができるといった、いわゆる「成長マインドセット」について、新たな研究が衝撃的な内容を発表しています。

エジンバラ大学がおこなったこの研究では、この一見ポジティブな考え方にほとんど意味がないどころか、目標達成に向けてネガティブな影響を与えかねないことを指摘しています。

研究は「Journal of Experimental Psychology」に掲載されています。

You can’t change your basic ability, but you work at things, and that’s how we get hard things done: Testing the role of growth mindset on response to setbacks, educational attainment, and cognitive ability.

https://psycnet.apa.org/record/2019-50726-002?doi=1

マインドセットよりハードワーク

学校にて「成長マインドセット」の理論が与えるインパクトを注意深く観察した心理学者たちは、生徒たちが学習の成果を向上させるためには、テキストブックの内容を充実させることや、体系的な学習がより効果的であることを結論づけました。

9~13歳の600人以上の子どもたちを対象としたこの研究では、自分の基礎的な知的能力が変化しうるものだと信じていようがいまいが、子どもたちが難しい問題を乗り越える際の姿勢に影響を与えていませんでした。

Credit: pixabay

研究をおこなったティモシー・ベイツ博士は、「過去の研究で確立された素晴らしい結果は表れなかったのであり、このアプローチを教室で用いることには注意が必要といえます。基礎的な能力に関する理論は、生徒のレジリエンスや成長といった点には関係がなかったようです」と語っています。

元も子もないように感じるかもしれませんが、研究者たちが、子どもたちが困難を乗り越える際にマインドセットよりも重要であると結論づけたのは、「ハードワークと粘り強さ」です。

「逆効果」になる場合も

「成長マインドセット」に関する研究が始まったのは1980年代で、心理学界における他の理念と同様に、今日に至るまで詳細な研究が進められてきました。

今回の研究では、このトピックの中で最も影響力の大きな2つの過去の研究を再現・検証しており、その方法論について再考しましたが、子どもたちの「成長マインドセット」を刺激したところで、彼らのモチベーションに良い影響を与えることはできませんでした。

しかし、過去の研究とは異なる点もありました。それは、あろうことか「成長マインドセット」が逆方向に働き、子どもたちにネガティブな影響を与えていたことが確認できたという点です。

Credit: pixabay

そこにどのような因果関係があるのかは明らかになっていませんが、「成長できる」と信じさせることが、子どもたちの成長を妨げるといった実に皮肉な結果が出てしまったことになります。

また、これに続く大学生を対象とした研究においても、同様の結果が得られました。そこでも「成長マインドセット」は適切に機能せず、生徒のパフォーマンスになんら影響を与えるものではなかったのです。

結局のところ、自分を成長させるには「マインドセット」ではなく「行動」を変えるしかないということになります。その行動を変えるためのマインドセットであれば効果的なのでしょうが、そんなに簡単に強力なマインドセットを得ることはできないと考えたほうがよさそうです。

意義のある人生は「極端な経験」で手に入る

reference: medicalxpress / written by なかしー

SHARE

TAG