洞窟内で初期人類とクマが同居していた可能性を示す研究が発表される

history_archeology 2019/09/29
Credit:pixabay

Point

■シベリア・アルタイ山脈にある「デニソワ洞窟」で、初期人類と肉食動物が同時期に住んでいたことを示唆する研究が発表される

■洞窟内の土壌に含まれる堆積物には、初期人類の存在を示すものと同時にクマやオオカミなどの出入りを示すものも見つかった

■さらに、他の洞窟内には普通見られる「火を使った痕跡」が極めて少なかった

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オーストラリア・ウーロンゴン大学により、初期人類とオオカミやクマなどの肉食動物が同居していた可能性を示す研究が発表されました。

場所は、シベリアのアルタイ山脈にあるデニソワ洞窟で、世界で最も有名な遺跡の1つでもあります。

研究チームが、遺跡内にある土壌を分析した結果、人類と肉食動物の活動を示す堆積物が同時に発見されたのです。

この発見は、初期人類の進化の謎を解明するための重要なストーリーとなるでしょう。

研究の詳細は、9月26日付けで「Scientific Reports」に掲載されています。

Hominin and animal activities in the microstratigraphic record from Denisova Cave (Altai Mountains, Russia)
https://www.nature.com/articles/s41598-019-49930-3

肉食動物の出入りが激しい洞窟

デニソワ洞窟は、ネアンデルタール人や初期のホモ・サピエンス、そしてデニソワ人という、3つのグループの化石を保存していることで非常に重要な場所です。時代区分でいうと、彼らが生活していたのは、およそ30万年前に当たります。

遺跡内の土壌分析には、「マイクロモーフォグラフィー」と呼ばれる技術が用いられました。この方法により、堆積物をミクロのスケールで調べ上げることが可能になり、人や動物の生活様式を示す証拠の発見へと繋がります。

そして、分析の結果、デニソワ洞窟には長期間にわたって人類が暮らしていたのと同時に、ハイエナやオオカミ、クマなどの出入りが激しかったことも明らかになったのです。

土壌内に発見されたハイエナの骨/Credit:theconversation

確かに、洞窟は人間以外の動物にとっても避難用のシェルターとして活用されることがあるので、彼らの出入りを示唆する証拠物が発見されても不思議ではありません。

しかし、問題は、オオカミやクマなどの肉食動物が、初期人類と同居したかどうかということです。研究主任のマイク・モーリー氏も「さすがに人と肉食動物が同じ時代、同じ場所で共存した可能性は低い」と語ります。

もしかしたら、初期人類はやり手の猛獣使いだったのかもしれませんが、真相は藪の中です。

普通はあるものがデニソワ洞窟にはなかった

もう1つ不思議な発見として、デニソワ洞窟には、初期人類が火を使ったことを示す証拠物がほぼ見られなかったということが挙げられます。洞窟には、人類が火起こしをした際に生じる燃焼物が残っていることが一般的です。

研究チームも、数十万年にわたって洞窟に住み続けたにも関わらず、火起こしの痕跡が少ないというのはかなり珍しいといいます。

「デニソワ洞窟」付近の森/Credit:theconversation

1つの可能性としては、火の痕跡が水の浸透により洗い流されたか、あるいは大気や土壌内の酸性度の増加によって風化したことが考えられるとのこと。

現代人としては「猛獣使いの人間たちが寒さをしのぐ方法として、オオカミやクマの懐でぬくぬくと温まっていたのかも」と思いたいところですが、その明確な証拠は今のところ無さそうです。

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reference: theconversation / written by くらのすけ

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