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生命の根本原理「セントラルドグマ」を東大が理論的に解明!…一体何がすごいの?

2021.01.27 Wednesday

2019.10.03 Thursday

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Credit:カラー/Project Eva.

Point

■全ての生物の細胞内では、遺伝情報を担う分子(DNA)と触媒機能を担う分子(RNA)に役割が分化している。これを生命の基本原理「セントラルドグマ」と呼ぶ

■こうした役割分化は原始細胞には存在していなかったと考えられるが、役割分化が起きた理由については、これまで明確に説明されていなかった

■研究はこれを数学的理論でモデル化し、進化の過程をシミュレーションによって再現することに成功

「生物の遺伝情報はDNAに保存されている」ということは周知の事実ですが、DNA単体は実際何の働きもしていません

DNAは生命の設計図の格納場所でしかなく、実際それを元に細胞を作り出して生物を成立させるためには、この情報を転写して工場となる領域へ運び出しタンパク質を合成する触媒RNAが必要になるのです。

こうした「DNAからRNAを経てタンパク質を合成する」という一方向への情報の流れを、分子生物学では生命のもっとも基本的な原理として「セントラルドグマ」と呼んでいます

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Credit:藤島皓介

これは、細胞内の分子が厳密に役割分担することで成立している生命活動のシステムですが、原始の生命では、細胞内にこうした役割分担は存在していなかったと考えられています。

では、一体どこから、どうやってこのような統制の取れた生命の基本原理「セントラルドグマ」は発生したのでしょうか?

新たに発表された研究では、この問題について、数学や物理学の基本原理である「対称性の自発的破れ」という考えから説明することに成功したといいます。

某アニメのように難解な用語が含まれる話ですが、一体どういうことなのか解説していきましょう。

この研究は、ニュージーランド・オークランド大学および、東京大学の研究者グループにより発表され、世界最古の学術雑誌「Proceedings of the Royal Society B (英国王立協会紀要)」に、10月2日付けで掲載されています。

The origin of the central dogma through conflicting multilevel selection
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2019.1359

「対称性の自発的破れ」とは?

今回の研究は、「対称性の破れ」という考え方が重要な意味を持っています。直感的には少し意味の取りづらいこの表現は、一体何を意味しているのでしょう?

科学における対称性とは、乱暴に言ってしまえば「結局同じことだから、別にどっちでもいいよ」という意味になります。

この世界に存在するあらゆるものは、基本的に対称構造を好みます。人間の顔や身体も、右と左に分けるとだいたい似たようなものになりますし、左右をひっくり返したからと言って、生命の機能に大きな異変が生じるとは想像しづらいでしょう。

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Credit:Wikipedia Commons/Leonardo da Vinci

しかし、例えば心臓の位置は基本的に左寄りで存在しています。対称性が保たれるなら、心臓は別に右でも左でもどちらでも良いはずです。もしくはど真ん中でもいいでしょう。なぜ左に寄ったのでしょうか?

こうした本来どちらでも良かった(対称性を保っていた)ものが、どちらか一方に偏ってしまうことを対称性の破れと言います。

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