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生命の根本原理「セントラルドグマ」を東大が理論的に解明!…一体何がすごいの? (2/3)

2021.01.27 Wednesday

2019.10.03 Thursday

細胞の進化はどう起こったか?

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Credit:pixabay

細胞内の分子は、遺伝情報を保管するDNAと、情報を複写・翻訳してタンパク質を作る触媒に役割が分化しています。

作られたタンパク質からDNAへ逆向きに情報が流れることはありません。

これは全ての地球生命に共通した仕組みで、生命の根本原理です。ところがこうした情報と機能の分業化が、どうして分子に発生したのかという問題はわかっておらず、それゆえ「ドグマ(教義)」と呼ばれています。

細胞内分子の役割分担は最初から存在していたものではありません。そのため原始生命の細胞では、分子は遺伝情報の保管と触媒をどちらも担っていたと考えられます。

それは、「どっちをやってもいいよ」と言われていた役割が、いつの間にか現在のように分子ごとに偏ってしまった状態と考えられます。これは、生命進化の中で起きた、対称性の破れです。

そこで今回の研究では、鋳型(DNA)としての役割も、触媒(RNA)としての役割もできる分子を含んだ原始細胞を想定しました。分子は鋳型となったほうがより多く自分の複製を作れるため、鋳型になる頻度を上昇させていき、触媒活性は最小化していきます

しかし、そうなると触媒が減り複製を作る効率は下がっていきます。一方細胞は複製を増やしたいので、分子の触媒活性を大きくしようと進化していくはずです

ちょっと細胞だとイメージが作りにくいので、これを会社に例えてみましょう

原始細胞という企業には、図面の管理をする設計職と、図面から物を作る製造職の社員(分子)がいます。会社は最初「好きな方の仕事をしていいよ」と言っていたのですが、設計職のほうが給料が良いので、社員はみんな設計職をやりたがりました。

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設計職のイメージ。/Credit:depositphotos

しかし、全員設計では会社が回りません。会社は商品をガンガン製造したいので、設計職を減らして製造職の社員が多くなるように、徐々に調整を掛けていくようになります。

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製造職のイメージ。/Credit:pixabay

こうなった場合、最終的にこの会社はどうなるか、ということを研究者たちは考えたのです。

そして研究者たちは、こうした矛盾した進化的傾向を、細胞と分子が持った場合の原始細胞モデルを使いシミュレーションを実施。その結果、そこには3種類の対称性の破れが発生したのです。

1つ目は、どちらをやってもいいと言われていた役割は、設計と製造で厳密に分化させられることになりました。

2つ目は、設計から製造へ異動となった場合、その社員はもう設計へ戻ることが会社から禁止されるようになりました。

3つ目に、これによって、設計よりも製造の社員のほうがずっと多い状態になっていったのです。

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