本当の「謙虚」とは「自分を過小評価する」ことではない

psychology 2019/10/16
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Point

■新たな研究により、「謙虚さ」とは自分の強みや特技に対して控えめで、過小評価する傾向とは無関係であると判明

■「謙虚さ」とはむしろ、自身の長所を認めながら、それが自らを特別な存在にするとは考えない心理傾向だった

「謙虚な人」と聞いて、どのようなイメージを浮かべますか?

多くの人が、「控えめ」「素直」「大人しい」といったことを思い浮かべるでしょう。しかし、実はこれまで、謙虚について心理学的に明確な定義づけをした研究というのは、数えるほどしかありません。

そこでデューク大学(米)の心理学名誉教授であるマーク・リアリー氏は、被験者419名を対象に「謙虚さ」に関する新たな定義研究を行いました。

その結果、謙虚さとは、自分の強みや特技を過小評価し、控えめであることとは関係ないと判明。これは世間一般のイメージとは、大きくかけ離れた結果と言えるでしょう。

研究の詳細は、9月20日付けで「Personality and Social Psychology Bulletin」に掲載されました。

Hypo-Egoic Nonentitlement as a Feature of Humility
https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0146167219875144

実は少ない「謙虚」の研究

リアリー教授は、長年の間、対人関係に亀裂を生む「エゴイズム」や「過剰な自己没入」について研究していました。その研究を進める中で教授が興味を持ったのが、それらと真反対の心理特性である「ハイポ・エゴ(hypo-egotism)」です。

ハイポ・エゴとは、自分に対して注意や関心を向けなくなる心理現象で、その一特性として「謙虚さ」が当てはまるといいます。しかし、教授の調べでは、謙虚さについて明確な定義づけをした先行研究は極端に少なく、そのどれもが曖昧なものでした。

そこで、アマゾン・テクニカル・タークから419名の被験者を募り、謙虚さに関する調査を実施しました。

被験者には、最初に、自分自身が誇る強みや特技について詳しい記述をしてもらい、次に、自身の強み・特技を他の人のそれと比較してどう思うか、評価付けしてもらいました。

その後、被験者には、「謙虚さ」「自尊心」「ナルシズム」「自意識過剰」「個人主義/全体主義」など、どのような性格特性に近いかを測定する質問に答えてもらいました。

「謙虚さ」とは「自分を正しく見極める力」だった

Credit: depositphotos

調査の結果、「謙虚さ傾向」に高いスコアを示した被験者は、自分の強みや特技について控えめに過小評価する傾向は見られませんでした。さらに、そうした強みや特技が、自分を特別な存在・地位に結びつけると考える傾向が弱かったのです。

要するに、謙虚な人とは、自分自身の長所を特別だと認識する一方で、それが必ずしも自分を特別扱いさせるものにはならないことを理解している人のことを指します。

リアリー教授は「謙虚さとは、言い換えれば、他の平均的な人に比べて自分の立ち位置を正確に見極める能力がある人のこと」だと指摘します。そのため、謙虚な人は、自分がどんな能力に長けているか、何をすれば上手く行きやすいかなどを自分自身で理解しているのです。

さらに、リアリー教授は「謙虚な人は、長所以外に多くの欠点や弱さが自分にあることを自覚しているので、他人からの特別扱いや賞賛を期待していない」と話します。

自分自身を正しく見極められる人こそ、「謙虚な人」と呼ぶべきなのかもしれません。

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reference: psypostzmescience / written by くらのすけ

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