RPGダンジョンのようなスペインの「巨大クリスタル洞窟」はどうやって形成されたの?

spot 2019/10/17

Point

■スペインのプルピ(Pulpí)にある巨大晶洞は、人が立ち入れる晶洞としては世界最大級

■プルビの晶洞は活動的な地質ではなく、完全に化石化した環境にあるため、これまで形成過程を分析することが難しく多くが謎に包まれていた

■最新の研究では、この晶洞がオスヴァルド熟成という熱力学的現象で形成されたことを説明しており、形成が始まった年代は560万年前と推定している

クリスタルの洞窟は、RPGのようなゲーム世界ではよく見るシチュエーションです。しかし現実の世界にも、まるでCGで描いたような美しい晶洞が存在するのです。

スペインのプルピでは、銀鉱山の50メートルほど地下から美しい晶洞が発見されています。これは人類が立ち入れる晶洞としては世界最大級のものです。

こうした晶洞は地質学的にも非常に興味深い地形ですが、完全に化石化したこれらの洞窟はどのように形成されたかを調べることがかなり困難で、いつどうやってできたのかという部分は謎に包まれています

最新の研究では、プルピの晶洞を取り囲む鉱山の地質構造をマッピングして、この晶洞の地質学的歴史の再構築を行っています。それによると、この晶洞は形成が始まってまだ最大200万年程度しか経っていないかもしれないというのです。

この研究論文は、グラダナ大学の地質学者García Ruiz氏が統括する研究チームより発表され、10月15日付けで米国地質学会の学術雑誌「Geology」に掲載されています。

The origin of large gypsum crystals in the Geode of Pulpí (Almería, Spain)
https://doi.org/10.1130/G46734.1

クリスタルの洞窟

Credit:Giant crystal cavern in Spain opens to public | AFP/AFP news agency

スペインのプルピにある晶洞は、晶洞としては世界第2位の大きさであり、人が入れる晶洞としては世界最大規模のものです。

ただ、晶洞としては大きくても、洞窟の規模としてはかなり小さめです。結晶は11mほどの洞窟に槍のように突き出していて、中央に卵型の小部屋があるだけで、人が動ける範囲はほとんどありません

世界最大と言われる晶洞は、メキシコのチワワ州ナイカ鉱山の地下300mにあります。ただ、この晶洞は地質学的にも活動的な場所にあり、マグマによって熱せられた地下水に満たされています。1985年にポンプで熱水が抜き出されましたが、未だに内部の気温は50℃超、そして湿度は100%とという、人が容易には近づけない環境にあります。

ナイカ鉱山の晶洞については、この熱水が結晶を成長させた原因と考えられていて、結晶形成が始まったのは60万年程度前という推定がされています。

しかし、プルピの晶洞は完全に化石化した環境にあり、どうやって形成されたか調べることが困難となっていました。

プルピの巨大晶洞はどうやって形成されたのか?

García Ruiz氏率いる研究チームは、晶洞の地質学的な歴史を再構築するために、鉱物や環境からのサンプルを分析し、晶洞を取り囲む鉱山の地質構造を詳細にマッピングしました

こうした調査の結果、晶洞内の結晶(亜セレン酸塩)は、硬石膏(無水形態の硫酸カルシウム)の溶解によって供給される塩によって連続的に成長していったと考えられるのです。また結晶は25℃未満の温度で沈殿したことがデータから示されると言います。

20℃程度起こるこのような過程は、オスヴァルド熟成と呼ばれています。

オスヴァルド熟成は液状ゾル粒子の中で、小さな粒子が溶解して、エネルギー的に有利なより大きな粒子に吸収されていくという熱力学的な現象です。

オスヴァルド成熟により液中の泡が成長する様子。/Huang Z, Su M, Yang Q, Li Z, Chen S, Li Y, Zhou X, Li F, Song Y/Wikipedia Commons

こうした現象の作用によって、プルピの晶洞は比較的浅い深度でも高純度の結晶を形成できたと考えられるのです。

しかし、晶洞が形成された年代については謎が残ります。この晶洞内のクリスタルは、非常に透明度の高い高純度の結晶のため、これを分析しても形成年代を特定する情報を得ることが困難なのです。

研究チームはこれについて、いくつかの推測を行っています。

まず、この晶洞が形成され始めたのは、地中海の水がこの地から干上がった560万年前より後であることは確実と考えられます。

この結晶の1つを覆っている炭酸塩クラストの年代を測定すると、それはおそらく6万年以上200万年未満となるので、この期間内で晶洞が形成された可能性は高いと言えそうです。

もちろんこれはかなり推定の幅の広い年代です。これ以上の形成年代の絞り込みは後の研究に委ねることになります。

こうした洞窟はとてつもなく長い年月を存在しているように感じてしまいますが、できたのは数十万年という地球の歴史から見ると比較的最近作られた地形になるようです。

それにしてもゲームばかりしていると、なんだか奥に危険なモンスターが眠っていそうな気がしてしまいますね。

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reference: sciencealert/ written by KAIN

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