夜空を落下する「火球」の正体、実はかなりヤバいと判明

space 2019/10/23
©KONAMI/KOJIMA PRODUCTIONS

Point
■世界の夜空でたびたび目撃が報告される火球は、流れ星の特に明るいものをさしている

■目撃データを元に火球の1つを調査したところ、非常に大きな小惑星の破片であったことが判明した

■該当する小惑星は、いつか地球へ激突する可能性がある危険な存在だという

ニュースでもたびたび話題になる、夜空を流れる巨大な火球。

報道される度に、「結局あれはなんなの?」「危険はないの?」と疑問に感じていた人たちもいるでしょう。

火球という呼び方に厳密な定義はありませんが、国立天文台のサイト上では、マイナス4等より明るい流星のことだと説明されています。要はとても明るい流れ星のことで、地上まで落ちてくるように感じますが、実際は上空数10キロメートルのところで大気摩擦によって燃え尽きています。

この火球、珍しい現象と思いきや、実は月に数個近く発生しています。最近よく聞くようになったのは、単にスマホやドライブレコーダーの普及によって動画に撮影されることが多くなったから、というだけのようです。

そのため、こうした数多くの火球目撃報告のデータをまとめるアマチュアサイトなども存在しています。

そしてそんな共有された目撃情報を元にして、火球の親となる小惑星を突き止めた研究者も現れました。

その研究報告によると、火球の大本は地球に衝突する可能性のある「潜在的に危険な小惑星」だったと言うのです。

この論文は、日本国立天文台(NAOJ)特別研究員の春日敏測氏を筆頭とした研究チームより発表され、現在は未査読でコーネル大学のプレプリントサーバーarXivに公開されています。

A FIREBALL AND POTENTIALLY HAZARDOUS BINARY NEAR-EARTH ASTEROID (164121) 2003 YT1
https://arxiv.org/pdf/1910.06527.pdf

夜空を流れる火球の正体

2017年4月28日の夜中、京都上空で撮影された火球。/©SonataCo Network

今回の研究は、動体監視ソフトによって稀な自然現象の観測データ保管し情報交換しているSonotaCo Networkというオープンネットワークの情報を用いて行われています。

ここに集めらたデータによって、研究者は瞬間的な発光現象である火球の観測についても、飛来した方角や仰角、軌道計算まで行えるようになったのです。

対象となった火球は2017年4月28日に京都上空で観測されたものです。これはおよそ29グラムのピンポン玉程度の非常に小さい岩だったと考えられています。

研究者はこの小さな岩の軌道を研究し、それを逆に追跡していくことで、この流星を生成した親となる天体を突き止めました。それは2003年に発見された小惑星2003YT1でした。

2003YT1は2キロメートルの巨大な小惑星の周りを、210メートルほどの小型の小惑星が周回するという連星小惑星です。この小惑星は今後1000万年以内に地球に衝突する可能性が6%と推定されている、天文学者が「潜在的に危険な小惑星」(地球への衝突可能性が高く、落ちた際の被害が甚大となる小惑星)と呼ぶ天体の1つです。

(164121) 2003 YT1 の軌道。/Credit:NASA

火球は小惑星から飛び散った欠片の一部であると考えられます。このような欠片が生成された原因については、連星の小さい小惑星が大型の小惑星へたびたびぶつかることで発生する断片であるか、または小惑星が熱で変化した際に表面が割れて生まれたものだと考えられています。

小惑星はもともとは別々に飛んでいたと考えらますが、軌道が交差した際に合体し、重力によってゆるく束縛された状態になったと推測されています。重力が弱いため、この2体は定期的に無秩序な回転を起こし、欠片を宇宙空間へ飛び散らせています。

アレシボ天文台による小惑星(164121)2003 YT1の撮影画像。/Credit:The Arecibo Observatory

地球衝突の可能性を持つとは言っても、この小惑星が現在の私たちが生きている間に落下する可能性はまずありえないと言います。将来的な危険をはらんでいるとはいっても、人類の脅威になることはないでしょう。

ただ、彼らから生まれた小さな破片が地球へ飛び込んでいる以上、より大きな親小惑星が同じ様に地球へ向かわないという保証もできません。もしこの小惑星本体や、より大きな破片が地球へ向かうことになったとしたら、それは地上に大きな被害をもたらすことになるかもしれません。

危機一髪! 小惑星が猛スピードで地球にニアミスしていた

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