昆虫のシマ模様のひみつ。移動する時に効果が変わる!?

animals_plants 2019/11/04
Credit: pixabay

自然界では、ほんの少しの動きが命取りになります。

身の危険を避けるため、自らを周囲の環境に溶け込ませて偽装する生物は数多く存在します。身体の色を木の幹の色に合わせるガや、砂漠の砂の色と同じ色の皮膚を持つトカゲなどが代表的ですね。

背景の中にじっと静止している時はそれでいいのですが、移動時は一体どうやってカモフラージュを続けるのでしょうか?

生物学者ハーディ・ポー氏の発見

40年以上前にこの疑問に対する答えを偶然発見したのが、生物学者ハーディ・ポー氏です。彼は、北米に生息するミズヘビを調査していた時に、ヘビの身体の縞模様が移動中は消え、その代わりに無地の茶色のように見えることに気づきました。

Credit: Big Iron/Wikipedia

彼は、このことが岩の多い背景にヘビの姿を溶け込ませているのではないかと考えました。つまり、ヘビの移動速度が速すぎるために、縞模様の濃淡が観察者の目や脳がそれらを見分けられる速度よりも速く切り替わるという仮説に至ったのです。

これは単なる偶然ではなく、ヘビが身体を偽装し、捕食者から身を守るために進化させてきたた特性かもしれません。

問題はポー氏がこの主張を実験で証明しなかったことです。そこで、英ニューカッスル大学の研究チームは、あるシンプルな実験を行うことにしました。

移動中は無地よりもまだら模様に軍配

実験で捕食者の代表として選ばれたのは、カマキリです。研究チームは複数のカマキリに、小さな昆虫のアニメーションがまだら模様の背景を急いで横切る動画をコンピュータスクリーン上で見せました。昆虫は、身体の模様が背景とさまざまな度合いでマッチしたものと、はっきりした縞模様のものが用意されました。

移動中に一番見つかりにくかったのは右の灰色だった / Credit: Newcastle University

多くの人は、左の画像のように背景と全く同じ模様を持つ昆虫がもっとも効果的だと予測するかもしれません。確かに、こうした模様は生物が静止している時は効果てきめんです。

ですが、動いている時は話が別でした。カマキリは、右の画像の無地の灰色の昆虫よりも、左の画像のまだら模様の昆虫の方をより頻繁に見つけたのです。

これは、昆虫の外見が背景と完全に一致している場合、動くことですぐにカモフラージュが解け、捕食者がそれに気づくからです。それに対して、無地の灰色をした昆虫は、これといった特性に欠けるため、移動中も目立つことがありません。

高速移動の時は縞模様が最強

一方で、真ん中の画像の縞模様の昆虫の場合、ノロノロと移動している時はかなり目立ちます。むしろ「気づいてくれ」と言わんばかりの目立ち様です。

ところが、十分な速度をもって移動する時、縞模様の昆虫は無地の灰色の昆虫と同程度に上手く身体を隠すことができました。

移動中は縞模様がかすみ、まるで無地の灰色のように見えるからです。高速で移動する時に限っては、背景と同じまだら模様を持つ昆虫よりも、縞模様を持つ昆虫の方がむしろ効果的に身体を背景に溶け込ませることができるようです。

Credit: Newcastle University

このように、十分な速度で移動する場合、抜群のカモフラージュ効果を発揮する縞模様ですが、他の理由で縞模様を活用している生物もいます。

たとえば、ミツバチが持つ黄色と黒の縞模様は、鳥に自分を食べるのは危険だということを警告すると同時に、移動中に待ち伏せしているカマキリから身を守るものでもあります。まさに一石二鳥の理にかなった模様なのです。

移動中に捕食者の目を逃れるコツは、素早く移動することと、動きにうまく溶け込むカモフラージュを上手く利用することの2点にあります。生物が持つ鱗・羽・皮の模様が驚くべき多様性に満ちている理由が分かりますね。

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reference: theconversation / written by まりえってぃ

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