宇宙は丸かった!? 「宇宙平坦説」を逆転する研究が発表される

space 2019/11/11
Credit:ESA and the Planck Collaboration
point
  • 新たな研究で、「宇宙は果てのある球体ではなく、果ての存在しないループした球体である」という説が浮上
  • ビッグバンの残光である「宇宙マイクロ波背景放射」が曲がっていたことが根拠の一つ

天動説が地動説に変わったり、宇宙は常に存在するもの(定常宇宙論)と思えば、無から生まれたという「ビッグバン仮説」が現れたり…

天文学では「逆こそ真なり」という事態がたびたび起こります。

そして今回も、宇宙の定説に関するコペルニクス的転回が起こるかもしれません。

というのも、新たな研究により、「宇宙は単純な三次元の球体なのではなく、端が存在しない四次元上の球体である可能性が高い」と示唆されたのです。

しかも、発表を行なったマンチェスター大学(英)の研究主任エレオノラ・ディ・ヴァレンチーノ氏は「今回収集されたデータは、99.8%の正確性を持っている」と話しています。

研究の詳細は、11月4日付けで「Nature Astronomy」に掲載されました。

Planck evidence for a closed Universe and a possible crisis for cosmology
https://www.nature.com/articles/s41550-019-0906-9?utm_source=commission_junction&utm_medium=affiliate

宇宙に果てはあるのか?

これまでの研究では、「宇宙には果て(端)がある」というのが定説になっています。

その根拠の一つがビッグバンの威力です。シミュレーションで、宇宙の時間をビッグバン発生まで巻き戻してみれば、爆発の極小点に急激な膨張力が見られました。

Credit:pixabay

この超高速の膨張を考慮すると、宇宙には果てがあり、まっすぐ伸びるしかないと天文家は指摘します。

ハッブルの宇宙の膨張速度の予測に関する理論や、重力エネルギーの問題など、様々な宇宙観測データもこの考え方を支持しています。

ところが、2018年に欧州宇宙機関(ESA)の人工衛星プランクが集めたデータを見ると、「宇宙には果てがない」と結論づけるべき証拠が見つかったのです。

宇宙はどんな形をしているのか?

宇宙に端や果てがあるなんて当たり前じゃない? と考える人は多いかもしれません。しかし、大昔に地球の海や大地についても同じ議論がありました。

昔の人は大地は巨大な円盤をしていて、どこかに果てがあり大地が途切れていたり、海が滝となって落ちているのだと考えていました。

Credit:depositphotos

しかし、実際大地に果てはありません。宇宙も地球と同じ様に果てはないかもしれないのです。

こうした次元に果てがあるのかという問題は、閉多様体と呼ばれる構造の問題になります。これは数学の中でも特に難しい分野である位相幾何学の問題ですが、宇宙から離れて、世界でもっとも単純な1次元空間で考えてみると、割とすんなり理解できます。

一本の紐を想像してみましょう。

紐はそのままだと両端が存在し、紐の上を移動した場合必ず1次元世界の果てに到達します。しかし、この紐の両端を結んで輪にした場合、この1次元世界はどちらへ進んでも終わりがなく永遠にループすることになります。

科学の世界ではこうしたことから、果てがある場合は空間が開いている、ループする場合は空間が閉じていると表現します。

Credit:nazology

地球はこれを2次元平面で考えた場合の問題になります。平面が開いていると机に広げた地図のように世界に果てが生まれます。地面は途切れ、海は滝のようにどこかへ落ちてしまいます。

けれど地球の大地は果てがなくループしています。これは地球が平面の端に当たる部分をすべて閉じて(繋いで)いるためです。

Credit:pixabay

では宇宙はどうなっているのでしょうか? 単純に3次元の球体のような構造の中にある場合、これは端が繋がっていないので、どこかに宇宙の壁があるということになります。

けれどもし宇宙が4次元空間の中にあり、3次元の端に当たる場所すべてを繋げて閉じた構造になっていた場合、宇宙には端がなくループする空間が作れるのです。

この宇宙は開いた空間なのか? という問題は、大地は球か? 平坦か? という議論と似ているため、宇宙に果てがあるという考え方を「宇宙平坦説」と呼んだりします。

では、宇宙は開いた平坦な地図のような形なのでしょうか? それとも、地球のようなループする球面なのでしょうか?

こうした議論に対して、今回の研究は人工衛星プランクが観測したデータから、「宇宙に果てはなくループしている」つまりは閉じた空間だ、と言っているのです。

曲がっているビッグバンの残光

人工衛星プランクが観測するのは「宇宙マイクロ波背景放射(CMB)」と呼ばれる光源です。

これは、ビッグバンから約38万年後の「宇宙の晴れ上がり」により誕生したマイクロ波で、宇宙最初の光と言われます。つまり、CMBはビッグバンの名残であり、宇宙の膨張や進化を理解するのに重要なものなのです。

そして研究チームが、収集されたCMAデータを分析すると、従来の予測を大きく超えた強い「重力レンズ効果」が見られました。要するに、光が大きく曲がっていたのです。

例えば、観測地となる「地球A」と観測対象となる「天体B」の間に別の「天体C」がある時、Cの重力のせいでBの光が曲がって、Aの地球に届きます。つまり、真ん中のCがメガネのレンズのような役割を果たすのです。

真ん中の天体がレンズの役割を果たす/Credit:cosmos

ヴァレンチーノ氏は「今回のように、ビッグバンの残光であるCMBの湾曲は、宇宙が閉じた球体とすることで説明がつく」と指摘します。

もしこの主張が正しく、宇宙が閉じた球体(3次元閉多様体)ならば、宇宙の端っこを目指して移動したとしても、いつの間にかスタート地点に戻ってしまうことになります。ただ宇宙に果てがあろうとなかろうと、膨張は継続されると言います。

一方で、宇宙が閉じた球体ならば、これまで分かっている多くの宇宙論と矛盾が生じるため、宇宙は開いた球体であると考える専門家が多いのも事実です。

宇宙については、現段階で全体のほんの一部しか解明されておらず、真相は分かりません。

いつか人類が、宇宙の果てまで行けるようになった場合、「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ! 俺は宇宙の果てに向かって旅をしていたと思ったら、いつの間にか地球に戻っていた」と言うことになるかもしれません。

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【編集注 2019.11.11】
内容に一部不明瞭な部分があったため、加筆・編集して再送しております。
reference: sciencealertglbnews ,京都産業大学/ written by くらのすけ, edited by KAIN

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