80%の精度で落雷を予測するAIが開発される

geoscience 2019/11/13
Credit:pixabay
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  • 気象衛星の情報を元に高精度で落雷を予測する人工知能ベースのシステムが開発された
  • このシステムはほぼ80%の正確さで落雷の位置と時間を予測可能
  • 現在のところ利用データが衛星やレーダーの高価な観測情報であり、計算が複雑なため予測速度は遅いのが問題

雷が怖い、という人は大人でも多く見られます。その理由の1つがいつどこに落ちるかわからないという予測不可能な恐怖にあるのではないでしょうか?

もし雷が事前にいつどこに落ちるかわかれば、私たちの恐怖も、そして実際の被害ももっと軽微に抑えられるかもしれません。

新しい研究では、気象衛星のデータを使い人工知能に落雷のパターンを学習させて、なんと精度80%で位置と時間が予測できるようになったといいます。

これでも、雷様におへそと大事な家電を奪われないで済むかもしれません。

この落雷予測システムは、スイス連邦工科大学ローザンヌ校 (EPFL) EMC研究室の研究チームが開発し、システムに関する論文はnatureの大気科学を扱うオープンアクセス学術誌『Climate and Atmospheric Science』に9月8日付けで掲載されています。

Nowcasting lightning occurrence from commonly available meteorological parameters using machine learning techniques
https://www.nature.com/articles/s41612-019-0098-0

落雷の予想

開発されたシステムは、スイス連邦気象局のオンラインデータベースから4つの気象パラメータ(気圧、気温、相対湿度、風速)を取得して人工知能を訓練したといいます。

この訓練では、スイスの都市と山岳地域にある12箇所の観測所から10年間にわたって集められた雷検知器と位置測定システムの記録と相互参照され、AIアルゴリズムはここから該当地域のどういった気象条件が落雷に関連するかを学んだのです。

結果このシステムでは、半径30キロメートル圏内で10分〜30分の間に落雷が発生する場所と時間を、80%近い精度で予測できるようになったと研究者たちは主張しています。また技術的にはまだまだ伸びしろがあり、精度を引き上げていくことは可能だそうです。

落雷の危険性

もしあなたが都会の住人である場合、高い建物が多くまた避雷針などの設備も整っているため、落雷をそれほど脅威に感じることはないかもしれません。

しかし、高い建物の少ない場所、開けた場所では落雷の危険性はかなり高くなります。特に落雷で恐ろしいのが直撃以外の放電による影響です。落雷は落ちた地点だけに被害をもたらすものではなく、広い範囲に放電を起こし地面立つ多くの人たちに被害をもたらす場合があります。

下のツイートはジャマイカのフットボールスタジアムで行われた学生同士の試合の様子です。この日は雷が発生しており、試合終了6分前に落雷が発生したそうです。これは選手に直撃したわけではありませんが、フィールドにいた二人の選手が落雷直後に感電して倒れてしまっています。

山岳地帯でも似たような被害の報告があります。登山者などは山で発生した落雷が斜面を伝って放電することで、直撃を受けたわけでもないのに感電して転倒することがあります。山ではこうした被害により滑落する危険なども発生します。

街での落雷では、電線に直撃することで高電流が逆流して家電を破壊したり、PCのデータが破損するなどの被害も報告されることがあります。

落雷は決して侮れない危険な災害です。事前に落雷地点が予測できることで、上で紹介したスタジアムの事故のような惨事も未然に回避できるかもしれません。

ただ、現在のところこのシステムには課題も多いと言います。1つは衛星やレーダーなど高価な外部データが必要なこと、またそのために非常に処理が複雑で、速度が遅いのだといいます。

しかし、自然災害を予測できるAIというのはこれからの展望に期待できそうな技術ですね。自然災害は日本でも脅威になることが多いのでぜひ発展してほしい研究です。

reference:newatlas,loopjamaica/ written by KAIN

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