「存在しないはず」の超巨大ブラックホールを発見 新種の可能性も

space 2019/11/28
Credit:depositphotos
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  • 地球から約1万5000光年の天の川銀河内に、理論的には存在できないはずの巨大な恒星ブラックホールが発見される
  • 通常の恒星ブラックホールのサイズは太陽質量の5〜20倍に対し、今回のブラックホールは70倍に相当する

中国科学院・国家天文台は、27日、1万5000光年の距離にある天の川銀河内に、太陽質量の70倍に匹敵する超巨大な恒星ブラックホールを発見したと報告しました。

「LB-1」と命名されたブラックホールは、あまりに巨大なため、1つの星が超新星爆発を起こして形成したとは考えられません。

研究主任のLiu Jifeng氏は、「ブラックホール形成に関する一般的な理論からすると、存在できるはずがない」と指摘しており、まったく新しいブラックホール形成のモデルが示唆されています。

その中で、ある2つの仮説が浮かび上がってきました。

研究の詳細は、11月27日付けで「Nature」に掲載されています。

A wide star–black-hole binary system from radial-velocity measurements
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1766-2

「恒星ブラックホール」の平均的なサイズは?

現在、私たちが暮らす天の川銀河には、約1億個の恒星ブラックホールが存在すると言われています。ただ、その大半が不活性な状態にあるため、目には見えません。

恒星ブラックホールは、1つの大きな星(太陽質量の30倍以上)が寿命を終えるときに超新星爆発を起こして作られます。爆発により恒星が重力崩壊して、その後にブラックホールが残されるのです。

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活性状態にあるブラックホールは、周囲を公転する星からガスを吸収することで、周りにドーナツのような円が出来ます。この円はX線によって目に見えるため、ブラックホール発見の手がかりとなるものです。

X線観測により、これまで20以上の恒星ブラックホールが天の川銀河内に発見されており、サイズは太陽質量の5倍〜20倍とさまざまです。これらが天の川銀河に存在するブラックホールの平均的なサイズと思われていましたが、今回のLB-1は規模が違いました。

「LB-1」はどうやって作られた?

調査の結果、太陽質量の70倍を誇るLB-1には、周囲を公転する巨大な恒星(太陽の8倍)が1つ存在することが判明しました。伴星の公転周期は79日で、互いの距離は、地球-太陽間(約1億5000万km)のおよそ1.5倍離れています。

LB-1は、この伴星からさらにガスを吸収しているようです。

伴星からガスを吸収する「LB-1」/Credit:中国科学院・国家天文台

しかし、LB-1の誕生秘話は、いまだ謎に包まれています。

まず、通常の恒星ブラックホールと同じような仕方ではありえません。恒星はブラックホールへと変化する前に、星表面から常にガスを放出(恒星風)しているため、結果的に大半の質量を失います。

その状態から、太陽の70倍のブラックホールが誕生することは不可能です。

Credit:pixabay

そこで研究チームは、可能性として2つの仮説を提唱しています。

1つ目は、比較的近い距離にある2つの恒星が、それぞれ独立して超新星爆発を起こし、ブラックホールを形成。その後、両者が近づいて衝突し、1つに合体したというもの。

この方法は、すでに他のブラックホールにも観測例があります。

そして2つ目は、1つの恒星ブラックホールが、周囲を公転する超巨大な伴星に飲み込まれたというもの。その後、ブラックホールは、毛虫の中にいる蜂の子のように、内側から伴星を吸収して巨大化したというのです。

実証はされていませんが、理論的には、こちらの仮説の方が可能性が高いと言います。

研究チームは、現在もLB-1の観測を継続中。結果次第では、完全に新種のブラックホールに認定されるかもしれません。

巨大ブラックホールを中心に回る、まったく新しい「惑星」系が存在した

reference: sciencealerttheconversation / written by くらのすけ

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