- ヨルダンの遺跡で、1300年前に作られたチェスの駒と思われる石が発見される
- 遺跡はかつてインドと中近東を繋いだ交易路に位置しており、チェス発祥の地であるインドから伝わった可能性が高い
カナダ・ビクトリア大学の考古学研究チームにより、中東の国ヨルダンで、チェスの駒と思われる石が発見されました。
年代を測定したところ、今から1300年以上前の7世紀頃に当たり、発掘史上最古のチェスの駒である可能性があるとのこと。
研究主任のジョン・オルセン氏は、「チェスは約1500年前のインドで誕生したと考えられ、同地から来た商人や外交人によって中東世界に伝わった可能性が高い」と説明します。
駒の種類はキングかクイーンか、それとも…?
貴重な最初期のモデル
チェスの駒が発見されたのは、ヨルダン南部のフマイマ遺跡です。
フマイマは紀元7世紀から存在し、のちにイスラム帝国第2王朝となるアッバース家のホームでもありました。アッバース家は、750年にウマイヤ朝に代わり、首都バグダードに王朝を建国します。
フマイマは、かつてインドと中近東世界をつないだ交易路の中に位置していました。その中で、常に周囲の動向に注目していたアッバース朝が、いち早くチェスを導入した可能性が高いのです。
また、オルセン氏によると、イスラムの古文書に見られる最も古いチェスへの言及は紀元後643年であり、発見された駒の年代にも合致します。
そして、気になる駒の種類は「ルーク」であるとのことです。
駒には、四角い形にツノのような突起が2つ見られます。現代のルークとは大きな違いがありますが、最初期に誕生したルークはこれと同じ形状だったと言われます。
ちなみに上の画像が、チェスの最初期モデルと言われており、それぞれ後列の左右端がルークに当たります。確かに、発見された駒と同じ形をしていますね。
現在のルークは、城や塔をイメージして作られていますが、初期のルークは、馬が引く二輪戦車が元になっていました。「rook(ルーク)」とは、ペルシャ語で「二輪戦車」を意味する「rukh」に由来しています。
オルセン氏の話では、まだチェスの駒であるとは断定できないそうですが、もし確定すれば、地球上に残る最古のチェスとなるそうです。