魚は水が濁っていると「間違った相手」と交配し、新種を生み出してしまう

science_technology 2019/12/06
シクリッドの水槽。/Credit:depositphotos
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  • 熱帯魚のシクリッドは地球上でもっとも多様な種類を持つ魚で2000種以上が知られている
  • シクリッドが多様な理由は、この魚のメスが間違った相手との交尾で新種を生んでいるためと考えられる

シクリッドという種類の魚を知っているでしょうか? 別名カワスズメとも呼ばれ、アフリカ淡水湖に見られる種です。体の模様やサイズに非常に多様な種類が存在しています。

シクリッドは知られているだけでも2000種以上が存在し、ヴィクトリア湖だけでも700種以上生息していることが確認されています。

しかも、こうした多様な進化はごく最近の100万年ほどの間に起こったものだと言います。

この急速な進化と多様性について、最新の研究はシクリッドが間違った相手と交配してしまうことが原因という説を発表しています。

この研究論文は、ケンブリッジ大学の進化生物学者Joana Meier氏を筆頭とした研究チームより発表され、12月3日付けでオープンアクセスの学術雑誌「Nature Communications」に掲載されています。

The coincidence of ecological opportunity with hybridization explains rapid adaptive radiation in Lake Mweru cichlid fishes
https://www.nature.com/articles/s41467-019-13278-z

間違った相手と交配してしまう魚

シクリッドもしくはカワスズメと画像検索すると、いろんな模様やサイズの画像が表示されると思います。

シクリッドは非常に多様性の高いアフリカ原産の魚で、最近の調査でもザンビアとコンゴの堺にあるムウェル湖で新種が40種も発見されています。

こうした1つの種が、非常に幅広い多様な種へ分かれていく現象を適応放散といいます。

なぜシクリッドがこれほど多様になったのかについて、今回の研究者は「湖ができたとき、水が非常に濁っていてよく見えなかったため、雌が相手をきちんと選べずに交配してしまったせいかもしれない」と語っているのです。

この魚の交配については、雌が主導権を握っています。雌が交配相手を正しく選別できなかったことが種の多様性をうんでしまったというのです。

どういう状況でそんな事が起こるんだ、と思うかもしれませんが、それにはこのシクリッドの変わった交配方法に原因があります。

シクリッドの一風変わった交配とは?

魚の交配では基本的に哺乳類などが行う様な、性行為というものが伴いません。魚の交配は、雌がタマゴを生み、雄がそこへ精子をかけることで成立します。

なんてつまらないセ…と言いたくなってしまいますが、それが魚の交配です。魚に生まれなくてよかったですね。

シクリッドはこの交配においても、特に変わった行動をとります。雌はタマゴを生むとそれを口の中に含みます。そして雄の放った精子を選んで自分の口の中に吸い込み口内でタマゴを孵化させるのです。

こうした交配を行うので、雌が判断を誤ると、全然自分とは違う種類の相手と交配が成立してしまう可能性があるのです。

実験室で検証したところ、シクリッドは光の加減などで色がわかりにくい状況だと、間違った雄と交配することがわかりました。

シクリッドの多様性は特にここ100万年ほどの間に急速に起こったことがわかっており、これは新しくできた濁った湖でシクリッドが遺伝的適合性のある多くの異なる種と、交配したためではないかと考えられるのです。

雑種は異なる2つの遺伝子が含まれるため、ここから大きな多様性が発生する作用があるといいます。

これは生物の融合する機会のある新しい環境では、生物多様性が増加するということを示す良い例だと考えられます。

異種間でもお構いなしにいただいてしまう、そういうマインドが多様性を生むのかもしれないですね。

漁業が魚類に「急速な進化」を引き起こしていたことが判明

reference:sciencealert/ written by KAIN
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