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土星の衛星エンケラドゥスにある「トラ縞模様」の秘密が解明される

2021.01.27 Wednesday

2019.12.12 Thursday

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Credit: NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute
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  • 土星の衛星エンケラドゥスの南極にある4本のトラ縞模様の形成メカニズムが解明される
  • ひび割れからは氷状の物質や水蒸気が噴出しており、衛星内部の様子を詳しく調べる手がかりとなる

土星の第2衛星である「エンケラドゥス」には、他の太陽系惑星には見られない変わった特徴を持っています。

それが「tiger stripe」と呼ばれる、南極に位置する4本の平行なトラ縞模様です。

トラ縞模様は、土星探査機カッシーニによる発見以来、天文学者たちの興味を引いていますが、どのようにして作られたのかについて明確な答えは与えられていませんでした。

ところが今回、アメリカ・カリフォルニア大学の研究により、トラ縞の形成メカニズムが明らかにされました。

研究の詳細は、12月9日付けで「Nature Astronomy」に掲載されました。

Cascading parallel fractures on Enceladus
https://www.nature.com/articles/s41550-019-0958-x

トラ縞の形成メカニズム

4本のトラ縞は、すべて地表面がひび割れることで作られており、割れ目からは、水蒸気や氷状の粒子が噴出しています。

研究主任のダグ・ヘミングウェイ氏によると、4本のトラ縞の長さは130kmほどで、それぞれ約35kmの間隔を空けて並んでいるとのこと。

調査の結果、トラ縞の形成には、公転軌道による重力変化が関係していることが分かりました。

まず1本目のトラ縞模様は、重力変化により、エンケラドゥスの表面がわずかに引き伸ばされたことがきっかけだと考えられます。そして重力の影響を最も強く受ける極地で、氷床が薄くなり、ついにはひび割れを起こしたのです。

ひび割れは北極にも同様に生じるはずですが、南極で先に割れたことで、ひび割れによる圧力が生じ、他の地表面が割れなくなったと考えられます。

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Credit: NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

次に、最初にできたひび割れから、地表下の水が噴出し、上空で凍って、再び地表に落下。最初の割れ目に沿って氷が積もっていき、次第にその重みに耐えかねて、氷床が割れていきます。

これが他の3本のトラ縞の形成理由です。

エンケラドゥスの表面温度がマイナス200度であるにも関わらず、ひび割れが凍って閉じない理由は、割れ目から氷状粒子や水蒸気が常に噴出しているからだと考えられます。

ヘミングウェイ氏は「トラ縞の割れ目のおかげで、衛星内部の水を調べられる」と話しています。

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reference: livesciencescitechdaily / written by くらのすけ

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