宇宙を「音で聴く」NASAの技術がすごい

science_technology

Credit:pixabay

宇宙を舞台にした映画やアニメで、宇宙船が爆発した時に爆音が響き渡ったりすると思わず突っ込む人も多いでしょう。彼らが指摘するように、宇宙では音が伝わりません。

それは音波が媒体中の粒子(大気分子)の振動によって伝わっているためです。人間はその振動が20Hz〜20kHzの範囲にある場合、音として聴くことができます。しかし、宇宙にはそんな音の圧力波を伝えるような媒体が存在しません。

もちろん宇宙は完全な真空ではなく、星の材料となるガスが存在しています。それが音を伝えることはないのか? と考える人もいるかもしれません。ですが、それは均一に分布しておらず、また密度が非常に低いため粒子間の距離が離れ過ぎていて、音を伝えるには不十分です。

ところがNASAの研究者は、面白いことに宇宙を音で感じ取るという研究を行っています

宇宙を音で感じるとはどういうことなのでしょうか? なんのためにそんなことをするのでしょう?

宇宙を聴く技術

宇宙には、電磁波(プラズマ波)、重力波、衝撃波など、媒体無しで移動できる波がたくさんあります。

大抵の研究ではこうした波を可視化して分析を行っています。しかし、NASAの「ヴァン・アレン帯探査機」に搭載されたEMFISISという計測機器は、これを音に変換するのです。

ヴァン・アレン帯探査機は21対で太陽の放射線環境の調査を行っています。EMFISISは3つの電気センサーと3つサーチコイル磁力計によって電磁波を測定しています。

ここで収集される電磁波には人間の可聴周波数範囲に入る波もあり、これを音波に変換すれば、音として聴くことができるのです。

これは実際音に変換された地球大気の放電(落雷)による電磁波です。暖色のグラフは電磁波が強い状態を表しています。高周波は低周波よりも速く空間を伝わります。これにより、徐々に周波数が減少する口笛のような音が聞こえます

こうした電磁波は、落雷による電磁インパルスが地球の磁力線に従って外気を移動するときに生成されるといいます。

こちらは0.5kHz以下の音を取り出したものです。ここでは口笛のような音がより顕著に現れています。こうした口笛の音は木星周辺でも高頻度で記録されたそうです。

なぜあえて音で聴くのか?

宇宙を音で聞くということには、一体どういう意味があるのでしょう?

実は人間の聴覚は、特定のトーンが反復するパターンを識別することに優れた能力を発揮します。この波形データを分離して識別する能力は、グラフを視覚から分析しようとするよりも、ずっと理にかなった分析方法となるのです。

また、上の動画では、雷の放電による音が口笛のように聞こえますね。これが木星周辺でも多く観測されたと書きましたが、このことから、木星で頻繁に雷が発生しているという事実が明らかになりました。

木星にも雷が存在するという発見は、音による分析の成果と言えます。

分かりづらいデータの解析といえば、視覚化ばかりを考えてしまいそうですが、実は音声化させるというのも人間にとっては有効なデータの分析方法なのです。

ブラックホールが奏でる「和音」の検出に成功

reference:scienceABC,NASA/ written by KAIN
あわせて読みたい

SHARE

TAG