100個の星が宇宙から突然消えていた!新たな天体現象か「宇宙人」の仕業か?

space 2019/12/19
パロマー天文台掃天観測(POSS)の赤外線記録。(左)1949-58年に行われたPOSS-Ⅰ。(右)1987-99年に行われたPOSS-Ⅱ。中央の星が消えている。/Credit:Beatriz Villarroel et al. (2019), arXiv
point
  • 天体観測の記録の不一致を調査していた研究チームが、短期間に消失している星を100以上発見した
  • 天体の消失で通常見つかる超新星爆発などの痕跡がなく、消失した理由が現在不明
  • 未知の天文現象か、地球外知的生命体の痕跡である可能性がある

空で突然消える光源を見つけたら、多くの人が「UFOだ!」と思うかもしれません。

今回、古い観測記録と新しい観測記録の比較調査を行っていた天文学チームが、はるか遠い宇宙で、いつの間にか消えていた謎の光源を100個以上発見したと報告しています。

研究チームは、新旧の観測記録を調査する中で、15万近い天体について観測記録の不一致を発見しました。その多くは観測のミスによる可能性が高かったと言いますが、現在100個近くの非常に赤い星が未知の理由で消えているというのです。

研究チームは現在のところ、これらの天体が突然消失した理由を説明できる現象の痕跡は発見できておらず、地球外知的生命体の活動の可能性も考慮に入れているといいます。

一体遠い宇宙で何が起きているのでしょう?

この論文はストックホルム大学のBeatriz Villarroel氏がリーダーを務めるVASCOプロジェクトの研究チームより発表され、12月12日に米国天文学会の学術雑誌『The Astronomical Journal』に掲載されています。

The Vanishing and Appearing Sources during a Century of Observations Project. I. USNO Objects Missing in Modern Sky Surveys and Follow-up Observations of a “Missing Star”
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-3881/ab570f

掃天観測を調査するVASCOプロジェクト

掃天観測された天の川銀河。/Credit:Two Micron All Sky Survey (2MASS)

天体観測には1つの天体に注目して行う指向観測と、広い範囲の夜空を観測して星の地図を作る掃天観測という2つの観測方法があります。

掃天観測(スカイ・サーベイ)は広域の星の地図を作ることが目的の巨大なプロジェクトです。何が映っているかは、観測された時点ではよくわかっていません。作られた膨大な星の記録は天文学者たちに公開され、好きに使ってねという感じになります。

グーグルアースから古代遺跡を発見する高校生がいるように、この星の地図も目的を持って調査することで様々な発見をすることができます。

今回、星の消失を報告したVASCOプロジェクトは、こうした歴史的掃天観測の記録の中から、時間の経過とともに消滅した天体の調査を行っていました。

古い記録は1950年代の米国海軍天文台のカタログを調査し、新しい記録ではハワイ大学、マサチューセッツ大学などが主導で行っている掃天観測プロジェクト「Pan-STARRS」が利用され、比較調査が行われました。

チームはその調査の中で、過去のデータとの不一致を見せる15万近い天体を見つけましたが、その中でも特に100個の非常に赤い天体が、説明のつかない理由で消失していたというのです。

突然消える赤い突発天体

ブラックホールに吸い込まれる中性子星のイメージ。/Credit: Dana Berry/NASA

急激に増光や減光する天体を、天文学では突発天体と呼びます。

通常太陽を含む主系列星の恒星は、非常に長期間に渡って明るさをほとんど変化させません。しかし、夜空の星の中には突然光って消えるような光度の急激な変化を見せるものがあります。

ガンマ線バーストや超新星爆発も突発天体に含まれます。ガンマ線バーストは目には見えない光を放っていますが、2008年には可視光を含んだ光度の変化を見せた例も確認されています。

こうした突発天体の新種は、現在次々と発見されていて、人類にとって未知となる宇宙の現象を見つけ出せるかもしれないと期待されています。

星が突然消えた場合、燃え尽きて白色矮星になったか、超新星爆発を起こして中性子星やブラックホールになったか、もしくは別のブラックホールに吸い込まれた、という可能性が考えられますが、星が燃え尽きたり超新星爆発を起こした場合、その痕跡は確認できるはずです。

今回発見された天体は、非常に赤く光っていたため、「赤い突発天体」と呼ばれています。この天体の消失では、燃え尽きた痕跡や、超新星爆発の起きた痕跡は発見できないといいます。

こうなるとブラックホールに飲み込まれたという候補が残りますが、これは非常に低い可能性です。連星の片方がブラックホールになったと言うような場合を除けば、そうそう星はブラックホールに出会って飲み込まれたりはしません。

こうなると、天文学者たちが待ち望んでいた未知の突発天体が発見された可能性が高いのです。

本当に地球外知的生命体の痕跡なの?

恒星を包んでエネルギーを吸い取るダイソン球のイメージ。/Credit:Kevin Gill

研究者たちは地球外知的生命体の可能性も考慮しているとして、これが強力な星間通信レーザーの光や、星からエネルギーを吸い上げたダイゾン球の放熱の光である可能性も語っています。

しかし、こうした予測を科学者が語るのは、未知の現象を見つけた際のSFファン向けのサービスと言えるでしょう。

本気で言っているわけではないので、真に受けて「そういえば僕はこの前宇宙に大きなフォースの乱れを感じた」とかツイッターでつぶやかないように気をつけないといけません。

宇宙人の可能性を言及しているのは、既存の理論では星の消えた理由にうまく説明が付けられないことを科学者が認めている証でもあります。

現在は非常に赤い消えた100個の天体を調査している研究チームですが、他の15万近い候補についても細かく検証を進めたいと話しています。

こうした調査を高速化するためには、今後はアマチュア天文学者の観測記録なども使って、人工知能を利用して研究していくことを検討しているそうです。

新しい星の消える現象が宇宙に潜んでいるなんて、とてもワクワクする話ですね。

天の川銀河の中心は、すでに人類も存在した300万年前に大爆発を起こしていた

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