宇宙の「ふわふわ綿菓子」みたいな惑星の正体が判明

science_technology 2019/12/21
3つのスーパーパフを持つ星系のイメージ。観測に従って正しい配置で描かれている。/Credits: NASA, ESA, and L. Hustak, J. Olmsted, D. Player and F. Summers (STScI)
point
  • ハッブル望遠鏡の発見したスーパーパフは恐ろしく低密度の星で、綿菓子に例えられている
  • この惑星は木星と同等のサイズを持ちながら、その質量は100分の1しかない
  • 極端に惑星が低密度の理由は、形成されて5億年程度の若い星系のためと考えられている

綿菓子のような惑星があると言われたら、なんだかメルヘンな空想をしてしまいますが、これは非常に低密度で軽い惑星の話です。

2012年、NASAのケプラー宇宙望遠鏡は主星ケプラー51を中心に3つの系外惑星が回る新しい星系を発見しました。そして調査の結果、この星系の惑星たちが驚くほど低密度のふわふわした綿菓子のような構造だということを発見したのです。

スーパーパフと呼ばれるこの惑星は、最近行われたNASAのハッブル宇宙望遠鏡の観測により、質量やサイズを正しく推定することに成功しました。

驚いたことにこの惑星は、木星レベルの大きさでありながら、その質量は地球の数倍程度しかないというです。

この発見は、NASAのサイト上に特集が組まれ報告されています。

“Super-Puffs” may sound like a new breakfast cereal. But it’s actually the nickname for a unique and rare class of young exoplanets that have the density of cotton candy. Nothing like them exists in our solar system.
https://www.nasa.gov/feature/goddard/2019/cotton-candy-planet-mysteries-unravel-in-new-hubble-observations

木星サイズなのにとても軽い惑星

ケプラー51星系の惑星と太陽系惑星のサイズ比較。惑星の色は想像上のもの。/Credit:depositphotos

太陽型の恒星ケプラー51と3つの巨大惑星は、ケプラー宇宙望遠鏡によって2012年から2014年にかけて太陽から2600光年離れた宇宙で発見されました。

発見当初からこれら3つの惑星は密度が低いと予想されていましたが、後に行われたハッブル宇宙望遠鏡の観測で、その大きさや質量が同定されました。

どうやって遠くの惑星の質量を測るのかというと、これは主星の前を惑星が通過する現象(トランジット)を観測することで推定されます。いわゆる食を観測するのです。

惑星同士の引力による軌道周期の僅かな変化は、トランジットを測定することでわかります。そして、ここから惑星質量を導くことができるのです。

ハッブル宇宙望遠鏡の観測によると3つの惑星はどれも非常に大きく、ほぼ木星と同じサイズですが、質量は非常に軽く木星の100分の1程度しかありません

サイズと質量を比較した場合、これは発泡スチロールや綿菓子でできていると表現するべき密度です。

ハッブル宇宙望遠鏡の観測では、これらの惑星はヘリウムと水素の大気に覆われており、それが木星サイズまで非常に膨張している状態と考えられました。しかし、なぜ大気がそこまで膨張したのかは現在も理由が不明です。

これを解明するために、ハッブル宇宙望遠鏡は惑星の大気組成を詳しく調査しました。チームが注目したのは大気中に含まれる水の存在する証拠です。こうした化学成分は大気中で吸収される赤外線の量から推定することができます。

しかし、こうしたスペクトル分析の結果は予想外のものでした。この惑星からは何の化学的特徴も見出だせなかったのです。惑星のスペクトルは実に平坦なものでした。

これは惑星を覆うガス粒子の量が非常に多く分厚かったためです。地球に浮かぶ水蒸気の雲とは異なり、この惑星は光化学反応を起こすガスで覆われている可能性があると研究者は予想しています。

光化学反応は光を吸収して濃密なガスを作り出します。これは土星最大の衛星タイタンにも見られるもので、内部の様子を隠してしまっているのです。要は雲が濃すぎて中が見えないのです。

しかし、こうした雲の存在は、他の低質量でガスが豊富な系外惑星との比較によって新たな洞察を与えてくれるヒントになります。

研究チームは、ケプラー51bと51dの非常に平坦なスペクトルを他の似た惑星と比較することで、雲の形成が惑星の温度に関連しているらしいということに気づきました。

ふわふわ惑星形成の謎

Young brunette eating a cotton candy outdoors

このことから、最終的に研究チームは、ケプラー51の惑星が非常に低密度である理由は、この星系が誕生してわずか5億年しか経っていないのが原因だと結論しました。

原始の星系では、ガスや塵が主星を囲むように円盤状に回っています。これらが次第にくっつくことで惑星は形成されます。

恒星の周りには、雪線(スノーライン)と呼ばれる水や一酸化炭素などが凍りつく境界があります。この雪線の外側では氷の粒が核となって塵を集め、惑星が形成されやすくなります。

恒星を取り巻く雪線の想像図。恒星から遠い場所を氷の粒子が覆っている。/Credit:A. Angelich (NRAO/AUI/NSF)

ケプラー51の惑星たちは、こうして形成された氷惑星だと推測されます。これが、徐々に主星の重力に引かれて星に近い軌道へ移動していき、現在は主星の熱によって蒸発中の状態なのです。

そのため、この非常に低質量で豊富なガスに覆われた惑星の姿は、若い氷惑星が形成される途中の姿と考えることができます。

研究者の予想では、ケプラー51bはもっとも主星に近いため、10億年程度で周囲の大気を失い、海王星の熱いバージョンの惑星になるとのこと。

これは、初期の惑星進化の理論を検証するための貴重なサンプルになります。

現在NASAが計画している次期宇宙望遠鏡『ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡』は、より長い赤外線波長にも感度があります。現在は見えない綿菓子惑星の、厚い雲の下を覗けるようになるかもしれません。

そのとき初めて、この不思議な惑星が実際は何で出来ているかわかるようになるでしょう。それまでは、この綿菓子は甘い謎に包まれたままのようです。

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reference: NASA/ written by KAIN

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