地球コアの表面では「鉄の結晶」が雪のように降り積もっている

geoscience 2019/12/24
Credit:depositphotos
point
  • 地球内部の様子は、地震波の反射や屈折を利用した測定によって行われている
  • 内部コアは西半球を伝わる波の速度が遅く、従来の地球コアモデルの予想と状態が一致していない
  • 新たな研究は、内部コア表面に鉄が雪の様に降り積もる原理を示し、この状況を説明している

地球の中心には鉄とニッケルを主成分としたコアがあると考えられています。

しかし、それは地下の3000キロメートル以上深い場所の話です。現在の人類の技術では、どう頑張っても地下200キロメートル程度までしかサンプルを取れないので、実際コアがどうなっているかは謎に包まれています。

特にコアの観測データは、地球中心部のモデルに基づいてシミュレーションされた結果と上手く一致していない部分があります。

この問題について、地球内核表層には、結晶化した鉄が雪のように降り積もっているというモデルが注目されています。

これは古くから提唱されているモデルですが、新しい研究は、このモデルの再考を提案しています。もしかしたら、地球の中心では鉄の雪が降り積もっているのかもしれません。

この研究論文は、四川大学のYoujun Zhang氏を筆頭とした国際的な研究チームより発表され、アメリカ地球物理学連合が発行する学術雑誌『JGR Solid Earth』に12月23日付けで掲載されています。

Fe Alloy Slurry and a Compacting Cumulate Pile Across Earth’s Inner‐Core Boundary
https://doi.org/10.1029/2019JB017792

地球中心はどうなっているのか?

Credit:Washiucho/Wikipedia Commons

地球の中心部のコアは、現在は鉄とニッケルによる固体の内核と、それらが液状となった外核で構成されていると考えられています。

地球中心は非常に高温高圧の状態のため、コアはもともと全て液体だったと考えられています。しかし中心部分は徐々に冷却されていき、鉄が結晶化して固体の内核が誕生しました。

けれどマントルと接する外核は未だに太陽表面と同じくらいの高温を保っており、水と粘度が変わらないくらいに溶けた流体鉄となっています。

どうやって地球の内部を調べているの?

地球の内部は実際に見ることができません。さらには地球深部まで到達するような信号を人間が発することは現代技術では不可能なため、エコー検査のようなこともできません。

では科学者たちはどうやって地球の内部構造を知ったのでしょうか?

それには人類にとって恐ろしい災害でもある地震を利用しています。地震によって発生した巨大な振動は、地震波となって地球深部まで伝わっていきます。

この地震波は、通過する物質によって伝わる速度が変わります。そして波動は遅く伝わる方向へ曲がる性質があります。こうした地球内部を通った地震波の反射や屈折を利用して、地球の内部がどうなっているのか推測しているのです。

地球を伝播する地震波のイメージ。/東京大学地震研究所 数理系研究部門,西田究

内核の構造については、極方向(南北方向)へ進む波と、赤道方向(東西方向)を進む波とで速度がかなり異なるということがわかっています。

こうした伝わる方向によって波の速度が異なることを異方性といいます。特に東西方向で起こる内核の異方性は、西半球にしか存在しておらず、波の伝わる速度は西半球の表面で遅くなっています。

これは日本の研究者が発見した事実で、内核は綺麗な球体ではなく100〜400キロメートルほどの表層の構造が、東西でかなり異なっているようなのです。

これは従来の地球内部のモデルから予想される地震波の伝わり方とかなりズレる結果であり、その原因は現在も不明です。

今回の研究者たちはこの原因について、外核の中には鉱物の結晶があり、それが雪のように内核表層へ降り積もっているためだ、と提案しているのです。

雪の降り積もる地球コアモデル

Credit:UT Austin/Jackson School of Geosciences

このモデルは、外核と内核の間には鉱物の固体粒子が液中に分散した懸濁液の層が存在していて、そこから鉱物の結晶が内核へ降り積もっているというものです。

鉄の雪の存在は、地震波が遅くなる理由や、内核が完全な球にならない理由をうまく説明してくれます。

しかし、この説は1960年代から提唱されていたにもかかわらず、これまで注目されていませんでした。

なぜ相手にされていなかったかというと、地球内部の高温高圧の環境下で、鉱物の細かな結晶が生まれて内核へ積もるという状況は現実的ではないと考えられていたためです。

今回の論文は、これを集積岩を用いて説明しました。マグマ溜まりの中では、カンラン石やスピネルといった鉱物の結晶がマグマのそこに沈積して集積岩というものを形成します。

研究者たちは、鉄、シリコン、酸素から作られた化合物が、適切な温度と圧力の溶液内で集積岩のように実際に固化するプロセスを示したことで、内核と外核の間でも鉄をベースにした結晶が生まれ、内核の表層の15%を形成すると明らかにしたのです。

もちろん現在、この地震波が予想と異なる伝わり方をするという問題には、他にも様々な説があり、これはそんな数多の仮説の1つです。

現在は、明確に何が正しいかを示す方法はありません。しかし、こうした疑問が解決されれば地球のような惑星がどのように形成され、今後どの様に変わっていくのかを理解するために役立つだろうと考えられています。

最近話題になっている磁極の極端な移動についても、こうしたモデルの中から上手く説明できるようになるかもしれません。

それにしても、地球内部では鉄の雪が降っている、とは詩的な情緒のある素敵な仮説ですね。

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