2019年の「奇抜な科学研究」9選

science_technology 2019/12/29
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今年もユニークな科学研究や驚きの発見がたくさんありました。

今回はその中から、世界を驚かせた「奇妙な科学研究9選」を紹介します。

1. 「ネッシー」のDNAを求めて

Credit:Keystone/Getty

イギリス最大の淡水湖ロッホ・ネスで目撃されたという生物・ネッシー。

このウワサ話に決着をつけるため、研究者は、広大なネス湖から250点以上の水のサンプルを採取し、そこに含まれるDNAのかけらを調査しました。

結果、周辺に生息するシカやブタ、細菌、魚類、ヒトを含む3000種以上のDNA痕跡が見つかっています。ところが、ネッシーに近いとされる大型の水生生物はおろか、巨大なチョウザメやナマズといった生物の痕跡すらありませんでした。

しかし、大量のウナギは発見されており、一部には「ウナギが巨大化したものがネッシーではないか」とする意見もあります。まあ、ありえそうもないですが…

2.「うんちナイフ」を作ってみた

Credit:Eren et al.

人類学者なら知らない者はいないとされる話があります。

それは「とあるイヌイットの男性が、激しい吹雪で遭難した際、自分のうんちを凍らせてナイフを作り、犬を解体して難をしのいだ」というもの。

とても有名な話だそうですが、これまで試した人はいませんでした。しかし今年、実際に「うんちナイフ」を作った人類学者が現れました。

彼らは、自らの便をイヌイットのうんちに限りなく近づけるため、油分の多い「イヌイット食」を8日間にわたり継続。それを凍らせ、ナイフ型に整形しました。

しかし、うんちナイフで豚の皮を切ってみたところ、皮には茶色い痕が残るばかりで、切れることはなかったとか。

人類学者に広まる伝説の「うんちナイフ」の切れ味、ついに実験する猛者が登場

3.サンショウウオを食べる「食肉植物」

Credit:Algonquin Wildlife Research Station

今年はじめ、サンショウウオの赤ちゃんが、食虫植物として知られる「ムラサキヘイシソウ」に食べられている様子が発見されました。

ムラサキヘイシソウに囚われたサンショウウオは、3〜19日間で絶命し、葉の内部に蓄えられた消化酵素で分解されます。

ムラサキヘイシソウは、生息域の土壌に不足する窒素を補うため、サンショウウオを栄養源にしていたのです。あな恐ろしや。

初観測! サンショウウオの赤ちゃんを食らう食虫植物がいることがわかる 

4. 匂いを嗅ぐのは鼻だけじゃない

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今年4月に報告された研究で、舌も鼻と同じように匂いに反応することが判明しました。

研究チームが、ラボ内で作ったヒトの味覚細胞に匂い分子を晒してみると、鼻腔と同じ仕方で反応したのです。

味覚細胞の1つに触れた匂い分子は、細部表面にある受容体と結合しました。匂いと受容体が相互作用することで、味覚細胞内に連鎖反応が起こり、匂いの情報を脳に送っているようです。

これは私たちの味覚と嗅覚が、予想以上に複雑に入り組んでいることを示します。

脳に嗅覚機能がないのに「匂い」を判別できる女性たちが見つかる

5. 吸血鬼ならぬ吸血木?

Credit:Sebastian Leuzinger / iScience

ニュージーランド・ウエストオークランドの森の奥深くで発見された切り株のような背の低い植物。周りは、高さ50メートルもある針葉樹のカウリマツに囲まれていました。

研究チームが詳しく調査したところ、この植物は周囲のカウリマツに絡みつき、水や栄養分を吸い取っていることが判明したのです。

日中、高くそびえるカウリマツは、根っこから葉に栄養分を運んでいますが、夜になると、この吸血植物が、カウリマツの根に残っている水分や養分を自分のものにして生きながらえていたのです。

夜に活動するところをみると、まさに吸血鬼ならぬ「吸血木」と呼べるでしょう。

死んだはずの木が「ゾンビ」のように生き続ける不思議な現象

6. 水って音で蒸発する?

Credit:Claudiu Stan / Rutgers University

水を音で蒸発させることはできるのか?

この疑問を解明するため、研究者は、ラボ内に用意した水流にカミソリほどの厚さのX線レーザーを当てたところ、なんと270デシベルの音を記録しました。

この実験は、真空状態の中で行われたため、実際に音は聞こえていませんが、飛行機のエンジン音が120デシベルであることを考えると、とんでもない騒音です。(ちなみに、NASAが開発した最も音の大きいロケット発射音でも205デシベル)

さらに、レーザーが衝突した水流は、勢いよく真っ二つに分断し、その両側面が気化しました。この音は、水中で出る音の限界値とも言われます。

7. ブラックホールも蒸発する?

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スティーヴン・ホーキング博士はかつて、ブラックホールは天体のガスやチリを吸い込むだけでなく、粒子を宇宙空間に放出すると仮定しました。博士は、放散する粒子がブラックホールの質量とエネルギーをゆっくり剥ぎ取っていき、最終的にブラックホールは消失すると理論化したのです。

しかし、長年の間、物理学者たちは「ホーキング放射」と呼ばれるこの理論が、証明可能なものとは思っていませんでした。

ところが今年5月、ラボ内で作った人工ブラックホールを用いて、ホーキング放射が可能であることが実証されました。

ホーキング博士の仮説が理論的に正しいことが証明されています。

実はブラックホールは蒸発している!? 謎のホーキング放射の実態に迫る

8. 蚊はSkrillexがお嫌い

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今年3月の実験で、メスの蚊にSkrillexの楽曲「Scary Monsters and Nice Sprites」を10分間、聴かせたところ、無音状態にいた蚊よりも吸血や交配の回数が減少していました。

この研究により、騒音で蚊の行動を抑制できる可能性が示唆されています。また、音を使うことで、殺虫剤など環境に有害な方法を回避できる点でも有益です。

騒音には、蚊を混乱させて、食料源や交配相手を見つける能力を妨害する効果があると言えます。

ある音楽をかけると蚊が寄り付かなくなるという研究

9. 奇妙な液体「ウーブレック」の動きを読む

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コーンスターチを水に混ぜることで、固体のような特徴を持つ液体ができます。これが「ウーブレック」です。

ウーブレックは、加える力で反応が変化します。例えば、手でギュッと強く握ると硬くなり、力を抜くと途端に液体に戻るのです。

今年、MITの研究チームが、ウーブレックの動きを予測する数学モデルを開発。シミュレーションの結果、ウーブレックは、ゆっくりした弱い力が加えられると固体の粘性が落ち、瞬間的に強い衝撃が加わると、粘性が高くなり固化しました。

この結果は例えば、道路上の陥没した穴にウーブレックを流し込めば、車が通るときだけ固化するという使い道があるかもしれません。

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reference: livescience / written by くらのすけ

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