月がもう一つ増える!?ベテルギウスが超新星爆発の前兆か

space 2019/12/26
オリオン座の左上の赤い星がベテルギウス /Credit:NASA

ペンシルバニア州ビラノバ大学の天文学チームが、12月のはじめ、ベテルギウスが観測史上もっとも暗くなっているという報告を行いました。

暗くなったらなんかあんの? と思う人もいるかもしれませんが、恒星が暗くなるのは死の前兆に見られる現象です。

そのため今回の報告は「いよいよベテルギウスが最後の瞬間を迎えようとしているのでは?」と各所で話題になっているのです。

重い星が死んだ場合、超新星爆発という大規模な爆発現象を起こします。ベテルギウスは宇宙の中ではかなり地球に近い場所に存在する星のため、もし彼が超新星爆発を起こした場合、真昼でも地球から観測できるくらいの光を放つと考えられています。

そんなビッグイベントが、もしかしたら近々観測できるかもしれないのです。

ベテルギウスってどんな星?

ベテルギウスは肉眼でも見えるほど明るい星で、もっとも見つけやすい冬の星座オリオン座の右上で赤く輝いているのがベテルギウスです。

これは冬の大三角形の1つにもなっています。冬の寒空の下で、「あれがシリウス、プロキオン、ベテルギウス」と恋人に指差して上げると、語呂は悪いですがベテルギウスと一緒に末永く爆発できるかもしれません。

ベテルギウスは太陽から642光年の距離にある恒星で、太陽の1400倍ものサイズがあり、質量は太陽の20倍と考えられています。

ベテルギウスのサイズを太陽系と比較した図。/Credit:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/E. O’Gorman/P. Kervella

これは、欧州宇宙機関(ESO)がサイトで紹介しているベテルギウスと太陽系を比較した画像です。もはや太陽に比べてどれくらい大きいとか言うレベルの問題ではなく、太陽系の木星軌道まで飲み込むほどのとてつもない大きさをしています。

これほどベテルギウスが巨大なのは、この星がすでに重い恒星の晩年の姿である赤色超巨星という状態にあるためです。

太陽も死を迎える際には、地球軌道まで膨れ上がると言われています。

超新星爆発って何で起きるの?

恒星が晩年にこの様に大きく膨れ上がるのは、中心核で核融合の燃料を使い果たしたために、核融合が星の外側で起きるようになるためです。基本的に星の核融合は水素を燃料にヘリウムを生むことで起こります。

中心核があらかたヘリウムになってしまうと、星の外側で水素がヘリウムを生み出す核融合が起こり、その熱で星は膨張をはじめるのです。重い星の場合、今度はこのヘリウムを燃料にさらなる核融合が起こります。

これがどんどんと連鎖的に続き、星の中心には重い元素が玉ねぎのように層を作った核ができます。

赤色超巨星のコア。中心に行くほど重い元素が溜まっていく。/Credit:R. J. Hall,JAXA

核融合が起きると基本的に、元の元素を足し合わせた質量より新しい元素は軽くなります。そのため、余った質量は「E = mc2 」というアインシュタインの有名な公式に従ってエネルギーとして放出されます。

これが星を輝かせ高熱で燃え上がる原理です。しかし、鉄より重い元素は、核融合で元の元素を足し合わせたより重くなってしまいます。そのため、逆にエネルギーを核融合で消費する状態となってしまうため、鉄より先の核融合は起こりません。

恒星は核融合のエネルギーで自重による圧力を抑え込んでいるため、核が重い鉄になってしまうと、自重を抑えることができなくなってきます。

外側の核融合も燃料切れになると、鉄の核は自重に押されてどんどん加熱されていきます。そして100億度を超えると鉄原子が光分解されて一気に押しつぶされ、全ての物質が中心に向かって落下します。

その結果起こる大爆発が、一般的に超新星爆発と呼ばれる現象の原理と考えられています。

べテルギウス、お前死ぬのか?

ペテルギウスのイメージ。/Credit:ESO/L. Calçada

軽い星はゆっくりと核融合を起こして燃えているので、非常に長寿です。太陽の寿命は約100億年あると言われています。

しかし、ベテルギウスのような非常に重い星は凄まじい勢いで核融合を繰り返し激しく燃えているため、寿命も短いと考えられています。

ベテルギウスサイズの星の場合、その寿命はせいぜい1000万年程度だろうと考えられます。そしてベテルギウスは誕生してから約1000万年ほど経っていると推定されています。

そんなわけで、ベテルギウスはもうすぐ死ぬでしょう。ベテルギウスは非常に重いため、死ぬときは超新星爆発を起こし、さらにガンマ線バーストという現象を伴って派手にお亡くなりになると考えられています。

星は核融合のエネルギーをほぼ使い果たすと、非常に暗くなります。しかし、中心核にまだ核融合可能な元素が残っている場合は、自重による圧力の上昇でさらに重い元素の核融合が始まり、また明るく輝きだします。

晩年の星はこうした減光と増光を繰り返す変光星となりますが、それは上で説明した通り鉄が最後です。

完全に燃料を使い果たした星はどんどん暗くなり、そして潰れて超新星爆発を起こすのです。

今回の史上最高の減光を示しているという報告は、この最後の瞬間をべテルギウスが迎えたのではないか、と考えられるのです。

べテルギウスが爆発するとどうなるの?

Credit:depositphotos

ベテルギウスのような巨大恒星が、地球から642光年という距離で超新星爆発を起こした場合、その輝きは真昼でも満月のように輝いて見ることができると言われています。

これはかなりのビッグイベントです。もし死ぬまでの間にそれが見られたとしたらかなりのラッキーと思っていいでしょう。

宇宙の景色は、光の速さより早く移動することはありません。もし、近々ベテルギウスの超新星爆発が観測できるのだとしたら、すでにベテルギウスは642年前に超新星爆発を起こしていたということになるでしょう。

宇宙の大規模イベントをこの目で見られるとなると、ちょっと楽しみな話ですが、ベテルギウスは宇宙距離としてはあまりに地球に近い上、あまりに重い星であるため、ちょっとした不安もつきまといます。

それはガンマ線バーストです。これは重い星の最後に起こる宇宙でもっとも明るい天体現象と言われるものですが、ガンマ線バーストは非常に指向性の強い放射線を放つ現象のため、これが地球に直撃するとヤバいかもしれないと考えられているのです。

ガンマ線バーストは星の軸線上に起こります。ベテルギウスは地球から軸が20°ずれていることが確認されているので、軸が動くことがなければ特に不安はないと言います。

ただ、超新星爆発のような現象で、ベテルギウスの軸が全くぶれないとは言い切れません。そして、そのとき軸が地球の方へ向く可能性も0とは言い切れません。

そう考えると、もしかしたらベテルギウスのガンマ線バーストが地球を襲い、地球上の生物が多大な影響を受ける可能性もあるのです。

地球が滅亡するかもしれない宇宙の大規模イベント、想像するだけで脳が震えます。

ただ、まもなくと言ってもその誤差は10万年ほどあると言います。天文学者的には、「もうすぐ爆発する(もうすぐとは言っていない)」という感じでしょうか。

観測史上もっとも巨大な中性子星が発見される

【編集注 2020.01.27 15:20】
記事最上部画像のベテルギウスの位置が「オリオン座の右上」と記載していましたが、「左上」の誤りだったため、修正して再送しております。
reference: cbc, / written by KAIN

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