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音を「聞かせる」ことで“がん細胞”だけを殺す技術が開発される (2/3)

2021.01.27 Wednesday

2020.01.09 Thursday

前ページ共鳴の正体

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細胞の骨を粉々にする

赤と緑の繊維状のものが細胞骨格 / Credit: wikipedia

研究者たちが目をつけたのは、細胞骨格とよばれる細胞の骨でした。

細胞は軟体生物のようにドロドロと形がないものと思われがちですが、細胞骨格と呼ばれる、無数の繊維で形が支えられています。

また細胞骨格は細胞内部での物質輸送のためにレールを提供する機能もあります。

細胞骨格を破壊されると、細胞は構造的な支えを失うと同時に、生命活動に必要な細胞内輸送が遮断され、溶けるように崩壊してしまいます。

癌細胞は変異の過程で、この細胞骨格を自分の生き残りのために都合のいいように作り変えることが知られていました。

この変質した細胞骨格の固有振動数がわかれば、同じ周波数の超音波をあてることで、共鳴振動を引き起こし、癌細胞の細胞骨格だけを崩壊させることができます。いかに癌細胞の生命力が強くとも、細胞骨格が崩壊すれば、生き残れません。

そこで研究者たちは音波の出力を低く抑えつつ、音の周波数を癌細胞の固有振動数にセットして発射することにしました。

オペラ歌手の歌声が客席のワイングラスを粉々に粉砕する事実から、低出力でも持続すれば、ターゲットに限定して大きな破壊力を生むことが解っていたからです。

結果は大成功で、人体を傷つけることなく、癌細胞だけを破壊することができました。

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