世界で観測された謎めいた地底のハミングは、新火山誕生のサインだった

geoscience 2020/01/13
Credit:depositphotos
point
  • 2018年5月以降、インド洋マヨット島の沖合で1カ月以上に渡ってうなりのような低周波が観測された
  • 海洋調査の結果、該当の地点の海底に新しい火山が誕生してマグマが流れ出していることが判明
  • この影響で、マヨット島付近のマグマだまりが空となり、地盤沈下も確認されている

2018年の5月から6月にかけて、インド洋のマヨット島30kmの沖で、奇妙な低周波のうなりが観測されました

それは世界中の地震観測所で確認され、まるでハミングのように唸っていたといいます。

一体この不気味な音の正体は何なのでしょうか?

謎のハミングは多くの科学者の興味を惹きましたが、これがマヨット島沖で新たに誕生した海底火山と関連付ける研究が発表されました

この論文はドイツのポツダムにあるGFZ(ドイツ地球科学研究所)の地震学者Simone Cesca氏を筆頭とした研究チームより発表され、地球科学に関する科学雑誌『Nature Geoscience』に1月6日付けで掲載されています。

Drainage of a deep magma reservoir near Mayotte inferred from seismicity and deformation
https://doi.org/10.1038/s41561-019-0505-5

大地のうなり

マヨット島の位置 /Credit:Google

今回の不気味なうなりが確認されたのは、アフリカとマダガスカルの間に位置するマヨット島沖の30kmの海底です。

低周波の不気味なうなりは、30〜40分近く続く場合もあり、最大でマグニチュード5.9の地震を伴いました。そんな振動が数千近くも観測されたのです。

2019年になって、フランスの海洋調査団がこの海域を調査すると、マヨット付近に新たな海底火山が誕生していることを発見します。

それは長さ5km、高さは0.8kmほどの火山でした。

今回の研究チームは世界中から集められたデータを元に分析を行い、この火山が不気味な振動を伴いながら誕生したというメカニズムを示しています。

新火山誕生のメカニズム

地下のマグマが地震を発生させる原理。今回のケースを直接説明する図ではない /Credit:東北大学 大学院理学研究科 地球物理学専攻

地球の地下深くは非常に高温で、岩さえが溶けてマントルというドロドロの液状になっています。ただマントルはどこでもドロドロに溶けているわけではありません。

地下深くなると圧力が高くなるため、岩石は溶けにくい状態になります。こうした高熱の岩石が地殻の活動によって上昇し、周囲の圧力が下がってくると溶けて集まりマグマになるのです。

このマグマは多量の火山ガス成分を含んでいます。これは地下の浅いところに来ると圧力が下がって気体になり、地上へ向かう強い浮力を生み出します。なので火山は、よく振ったあと炭酸ジュースの蓋を開けるのと同じような原理で起きるのです。

火山ガスを含んだマグマは炭酸ジュースのような状態。/Credit:仙台管区気象台

こうした原理で、火山のなかった場所に火山が誕生することもあるのです。

今回のうなりは、海底地下35kmにできたマグマ溜まりから、マグマが地殻を割りながら斜めに急速上昇してきたときの振動だったと考えられています。

マグマはもろくなっている地層に入り込み、小さな断層や亀裂を生みこの地域を揺さぶりました。その振動が深く埋まったマグマ溜まりの空洞と共振を起こし、独特の大きな低周波のうなりを生んだのです。

こうして新たな海底火山を生み出して吹き出したマグマは、1.5立法キロメートルに及ぶとされています。

しかし、今回起きた現象の規模から考えると、さらに多くのマグマが関与している可能性も高いと言います。

マグマ溜まりの空洞

今回マグマが流出したことで、地下深くのマグマ溜まりには空洞できたと考えられています。この影響でマヨット島は20センチ近く沈み込んだそうです。

これはさらなる地殻崩落や、巨大地震の発生リスクをはらんでいます。

まだ、これは振動データの分析による研究であり、実際マグマだまりとマヨット島付近の沈下との関連は別に研究が進められている最中だと言いますが、大惨事が起きないことを祈るばかりです。

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reference: livescience / written by KAIN

 

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