ブラックホールに近づいても吸い込まれない「特殊な天体」を銀河の中心に発見

space 2020/01/17
銀河中心の様子。緑は若い星、赤は老いた星を表す。紫の点がGオブジェクト。/Credit:G objects and stars orbiting the super-massive black hole at the center of our Galaxy,UCLA Galactic Center Group
point
  • 銀河中心で「ブラックホールに接近しても吸い込まれずに伸びるだけ」という特殊な天体が見つかった
  • この天体はGオブジェクトと名付けられ、単なるガスでも固体の星でもない天体と考えられている
  • 今回の研究は新たに発見された4つのGオブジェクトを検証し、これをブラックホールの影響で潰れた連星と推測

天の川銀河の中心にある、銀河の核となる超大質量ブラックホール「射手座A *(いてざえーすたー)」。

そこは太陽系の周辺よりも10億倍も星の密度が高い特殊な環境で、通常の宇宙では見られない特異な天体も存在しています。

射手座A *の近くで発見された奇妙な天体は、ガスの雲に見えるのにブラックホールに近づいても吸い込まれることはなく、伸びるだけで離れると元のコンパクトな形状に戻るといいます。

単純なガスであるならば、ブラックホールの重力に耐えて元の形状へ戻ることはありえません。

今回の研究では、さらに同種の天体を発見し、ブラックホールを周回する6つの天体の軌道を特定したと報告しています。

この研究はカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究者であるAnna Ciurlo氏を筆頭著者とする研究チームより発表され、1月15日付けで、科学雑誌『Nature』に掲載されています。

A population of dust-enshrouded objects orbiting the Galactic black hole
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1883-y

変形するけど崩れない天体 Gオブジェクト

赤みを帯びた核を持つイメージで描かれたGオブジェクトの想像図。画像中心の白いリングがブラックホール。/Credit: Jack Ciurlo,UCLA

謎の天体はGオブジェクトと呼ばれています。

最初のGオブジェクトは2005年と2012年に発見され、それぞれがG1、G2と名付けられました。

この天体は、発見当初はガスの塊だろうと考えられていました

しかし、この天体の特殊な性質は2014年、G2が射手座A *の事象の地平面から数百天文単位(太陽と地球の距離の数百倍)という距離に接近したとき、明らかとなりました。

G2はブラックホールに接近した際、非常に伸びて歪んだにも関わらず、吸い込まれて落ちることはなく、ブラックホールから離れるとまた元の円形でコンパクトな形状に戻ったのです。

単純なガスであるならば、ブラックホールに接近した際、重力に物質を奪われることは避けられません。G2の奇妙な振る舞いは、これが重力的に強い力で結合した何らかの特殊な塊であることを示しているのです。

同種の天体を発見

6つのGオブジェクトの軌道。/Credit: Anna Ciurlo, Tuan Do/UCLA Galactic Center Group

今回の研究チームは、この天体を研究するために、同種の天体が存在しないかについて捜索を行いました。そして新たに4つのGオブジェクトを射手座A *の周りに発見したのです。

見つかったGオブジェクトの軌道は、周回するのに100年から1000年を要する非常に巨大なもので、それぞれが大きく異なった軌道を描いていました。しかし、そのスペクトルはG1、G2と同様の特性を示しているのです。

この事実は、関連しないまったく別々の場所でも、射手座A *の周囲ではGオブジェクトが形成されていることを示唆しています。

「この天体はそもそも巨大なガスの輪で、塊はそこにできた結び目」だという捉え方もありましたが、軌道をたどって回っていることが観測されたため支持できなくなりました。

研究者たちが考えている現在の可能性の高い説明は、これらの天体が全て元は連星で、それがブラックホールの重力の影響で融合して生まれたというものです。これが中心に星としての核を持ち、強く結合した塵の外殻を持つ特殊な天体を生むのかもしれません。

ただし結局のところ、この天体が何であるかは未だ解明されていません。

ブラックホールの存在する環境は本当に厄介だ、と天文学者たちは語っています。こうした場所に見つかる特殊な天体を明らかにするためには、もっと良い機器を開発して詳細に調べていく必要があるのです。

研究者は、同様のオブジェクトをもっと発見したいと語っています。いずれ、この謎の天体についても詳しい姿や解説が登場するかもしれません。しかし、それはまだ先の話のようです。

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reference: livescienceUCLA / written by KAIN

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