2600mの深海にワニの死体を置いたら跡形もなく消えた! 犯人は誰?

animals_plants 2020/01/17
Credit:McClain
point
  • 深海2600mに放置したワニの死体を食べたのは、ダイオウゾクムシやホネクイハナムシだった
  • 1頭のワニの死体は、拘束具ごと消えてしまった

深海生物は形も食生活も個性豊かで、謎に包まれている部分が未だ多く存在します。

そのような謎を解明するべく、「おもり」に縛り付けた淡水ワニの死体をメキシコ湾深海2600mに置くというユニークな実験が行われました。

分厚く硬いうろこ状の皮に覆われたワニの肉を食べる深海生物はいたのでしょうか?

研究の詳細はジャーナル誌「PLOS ONE」に掲載されました。

Alligators in the abyss: The first experimental reptilian food fall in the deep ocean

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0225345

3頭のワニは深海生物たちによって綺麗に食べられた

この実験では3頭のワニが深海に放置され、その様子が観察されました。

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1頭目のワニは1日もしないうちに、巨大なピンク色の甲殻類(ダイオウゾクムシ)によって内側から食べられ始めました

ワニにはたくさんのダイオウゾクムシが群がりました。その一部がワニの皮膚に穴をあけ、内側から肉を食べ始めたのです。ダイオウゾクムシは少食で飢餓に強いことで知られていますが、空腹のダイオウゾクムシはワニの硬い皮を食い破るほどの食欲を見せました。

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2番目のワニは51日後に訪問してみると、骨まで綺麗に食べられていました。ワニの背骨と頭蓋骨は残っていましたが、その骨には茶色の羽毛のようなものが固着していました。

これらは、DNA分析により、ホネクイハナムシの新種であることがわかりました。ホネクイハナムシは羽毛のような外見の生物であり、別名ゾンビワームとも言われています。死骸に群がり脂質を取り込んで栄養を得ていると考えられています。

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3番目のワニは、なんと1週間もしないうちに拘束具ごと跡形もなく消えてしまいました。ワニと拘束具の合計重量が36kgであることを考えると、大きな捕食者によって持っていかれた可能性が高いでしょう。研究者たちはサメが犯人であると推測しています。

食物砂漠に住む深海生物たち

今回の「淡水ワニの死体を深海に設置する」という実験は、実際に起こり得る現象を元に行われています。

深海には光が届くことがなく、植物は光合成できません。ですので、あらゆる栄養素が不足しがちです。

深海は食物に関して砂漠のようですが、同時にオアシスのようなスポットも存在します。あるスポットでは、海面からクジラなどの大型哺乳類の死体が沈んでくることがあります。このような死体は深海生物にとって重要な栄養源であり、死体が運び込まれるたびに「深海大宴会」が開催されます。

これまでの研究では、深海生物の食物としてクジラのような海洋生物に焦点が当てられていましたが、実際には、ハリケーンや悪天候の影響で淡水ワニの死体が海に投げ込まれることもあります。

ワニの落下が深海生物に与える影響はこれまでに観測されてきませんでした。研究者たちは深海生物にとって分厚い皮のワニは難易度の高い食事だと考えましたが、今回の結果によって、その考えは否定されました。

食物砂漠に住む深海生物たちにとって「硬い皮の淡水ワニ」くらい、なんてことなかったようです。

深海1万mに強靭な「アルミニウム装甲」のエビがいる

reference: livescience / written by ナゾロジー編集部
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