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糖尿病薬でも癌細胞を殺せる? 既存の薬50種の「隠れた抗がん作用」が明らかに

2021.01.27 Wednesday

2020.01.22 Wednesday

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point
  • 抗がん剤じゃない身近な薬にも、がん細胞を殺す効果があることがわかった
  • 未知の仕組みを解明することで、全く新しい抗がん剤を作れる可能性がある

製薬業界では、目的とする以外の効果が認められ、新たな薬となるケースが多数あります。

例えば、元は狭心症の治療薬だった「バイアグラ」は、肝心の狭心症に対する効果は微々たるものでした。

しかし患者が返却を渋り、隠れて家に持って帰っていたことから例の効果が明らかになり、現在は大いに活躍しています。

今回研究者たちが確かめたのが、既存の薬の抗がん剤としての効果です。実験の結果、新たに約50種類の薬にがん細胞を殺す効果があることがわかりました。

研究はMITとハーバード大学の研究者らによって行われ、1月20日に学術雑誌「Nature Cancer 」に掲載されています。

Discovering the anticancer potential of non-oncology drugs by systematic viability profiling
https://www.nature.com/articles/s43018-019-0018-6

あらゆる既存薬を、がん細胞に与えてみる

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研究者はまず、既存薬の隠れた抗がん作用を確かめるため、研究者は頭痛薬から便秘薬まで4518種類にも及ぶ既存の薬を用意しました。

そして対象となるがん細胞には、肺がん、前立腺がん、子宮がんなど、知られているほぼ全てのがんのタイプを網羅した578種類が揃えられました。

あとは薬とがん細胞を混ぜて、がん細胞が死ぬかどうかを確かめるだけです。

しかし4518種類の薬を578種類のがん細胞に一つ一つ試す場合、作業回数は単純に考えて260万回にも及び、現実的ではありません。

そこで研究者は25種類のがん細胞を配置したチップを複数作り、1つの薬の効果を一度に試せる「分子バーコード法」と呼ばれる方法を使いました。

チップには薬によってがん細胞が死んだ場合、細胞から流れ出る遺伝物質(RNA)を感知する仕組みがあり、どの薬によって、どのがんを、どれだけ殺せたのかを素早く確かめることができたのです。

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