白髪になったら戻らない
ストレスにさらされたマウスは、ほんの数日で色素幹細胞のすべてが失われてしまいました。枯渇した色素幹細胞に回復の見込みはありません。人間も同様に強いストレスを受け続けるなら、若くして白髪になり、後戻りはできないと考えられます。
しかし、別の実験により、ストレスを受けてもマウスの白毛化を防ぐことにも成功しました。ストレスによって幹細胞が損傷してしまうのですが、この損傷の原因となるタンパク質(cyclin-dependent kinase)を抑制することで、毛色の変化を防げたのです。
マウスのストレス性白毛化防止を応用するなら、人間のストレス性白髪化を防止できるかもしれません。
加えて、今回の実験と結果は、老化による白髪化の問題にも新たな光を当てるものとなりました。これにより、解明すべき疑問が生まれています。「ストレスによる白髪化のメカニズムは、加齢による白髪化のメカニズムと同じなのか?」「加齢による白髪化を遅らせることができるか?」などです。
白髪化と防止策に対する研究は今後も続けられます。いずれ、人間の白髪防止薬が作られる日がくるかもしれません。