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木造建築でCO2を大幅削減? 注目が集まる集成材「マスティンバー」

2021.01.28 Thursday

2020.02.03 Monday

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  • 世界中で新たに作られる建物の9割をマスティンバーで建てることで、年間7億トンのCO2を削減できるという試算が出された
  • マスティンバーとは、複数の木材を組み合わせて圧縮強度と張力強度を向上させた集成材のこと
  • 伐採方法と再利用方法の整備が課題

「今さら木造?」と思う人も多いかもしれませんが、現在、持続可能な社会のために木造建築を活用するという考え方が注目を集めています。

最近の研究で、世界中で新たに作られる建物の9割を木造建築にすれば、年間7億トンものCO2を削減できることが明らかになりました。

研究は独ポツダム気候影響研究所の研究チームによって行われ、論文は雑誌「Nature Sustainability」に掲載されています。

Buildings as a global carbon sink
https://www.nature.com/articles/s41893-019-0462-4

CO2吸収量は自然林の3倍以上!?

研究チームは、2050年までに世界人口が95億人を突破し、その7割が都市部に居住すると予測。そうして新しい住居や商業施設の需要が増えれば、これらの建物を作るためのコンクリートや鉄といった資材が、さらに多くの温室効果ガスを生むことになります。

世界のCO2排出量の8%はコンクリートによるもので、これは世界のCO2の2.4%を占めるジェット燃料を大きく上回ります。私たちがコンクリートや鉄といった鉱物をベースとした建築資材を用いて建物を作り続けた場合、2050年までに世界のCO2排出量の約5分の1の発生源はこれらの資材が占めることになるのです。

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私たちは今世紀半ばまでにCO2排出量を減らし、それと同時に効果的なCO2吸収源を見つける必要があります。

そこで研究チームが目を付けたのが、CO2を吸収しないコンクリートや鉄と違い、長期間にわたってCO2を吸収できる木材、とりわけ「マスティンバー」(複数の木材を組み合わせて圧縮強度と張力強度を向上させた集成材)の存在でした。

研究チームは、マスティンバーで作られた5階建ての住居用建築が吸収することのできるCO2の量が、1㎥辺り年間180キロに上ると試算。これは、CO2濃度の高い自然林の3倍以上に匹敵する量です。

研究チームは、マスティンバーを用いた建築についてこの先30年の間に起こりうる4つのシナリオを想定しました。

1つ目のシナリオは、これまでと変わらず、新建築の大部分がコンクリートや鉄で作られ、残りの0.5%のみが木材で作られるというもの。2つ目のシナリオは、10%が木材で作られるというもの。3つ目のシナリオは50%が木材で作られるというもの。4つ目のシナリオは、90%が木材で作られるというものです。

もちろん、2つ目以降のシナリオは、まだ産業化の進んでおらず、今後多くの建物を作ることになる国々において、建築方法の切り替えが実施されることが条件です。試算では、2つ目のシナリオでは一年間で吸収できるCO2が1,000万トンであるのに対し、4つ目のシナリオでは7億トンものCO2を吸収できることが明らかになりました

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